Rachmaninoff / Concerto No.2 in C Minor, Op.18


これ本当に原題はただの「協奏曲」なんですよ。勿論、ピアノ。
この曲は3枚持ってますが、アシュケナージ版がベストなんていうのは名盤紹介本に任せておけばいい。ステレオ録音だし、音は綺麗、まとまりもあるけど、絶対的にロマンが足りない。柔だ。そして、あまりに平和すぎる。
俺の愛聴盤は、ラフマニノフの自演盤。1929年録音、指揮はディズニー『ファンタジア』でも有名なストコフスキー。オケはストコの兵隊フィラデルフィア管。
で、これがもう破格に素晴らしい。
ノイズばりばりのモノーラルな録音なんか、全然気になりません。どうやらストコフスキーが酔ってるぽいのが問題ですが、ラフマニノフのピアノは本当に最高。何より早い。ありえないくらいに早い。第1楽章なんて平均より130%は早い。でも、テクニックは抜群。何より、全ての音から浮かび上がる強靭なファンタジー、溢れんばかりのロマンティシズム、郷愁の念を思わせる悲しさ。ため息が出る美しさとは、こういう音楽を指して言う。
これだけの大作曲家が、同時に史上最高レベルのピアニストでもあったことの驚異。これこそロマンティシズムの為せる業としか言いようがありません。
そう、本来のロマンティシズムとは強靭で力強い。反省しろよと自分に言い聞かせる。
ラフマニノフは身長190cm。指を広げれば、そのまま1オクターブ届いたという、まさに巨人。この恵まれた身体のなかに、恐るべき繊細さと情熱を秘めた我が最愛の音楽家の一人。
やっぱり大好き。