Primal Scream / Evil Heat (2002)


プライマルズの現時点での最新作。やっぱりこう並べて聞いてみると、別のグループにしか思えないです。サウンド面は勿論だけど、ボビーの歌声に覚めた感じがあるというのか、トリップの仕方が違うように感じるんですよね。『Screamadelica』みたいにEでぶっ飛んでるんじゃなくて、アンフェタミン使いすぎなのが明白みたいな。
サウンド的にはデジタルサイケハードコアとでも言うべきか。打ち込み多用、リズムもうねりも凄まじい。全体的にはエフェクトがかなりかけられていて、これは割とロックが好きじゃないとまず聞いていられないこと必須かも。「City」ではマイブラKevin Shieldsがギターで爆走してます。プロデュースも彼が大半の曲を担当してますが、他にも、Jesus & Mary ChainのJim Reidや元レッド・ツェッペリンRobert Plant、モデルのKate Mossなど多彩な顔触れ。もう、これら全員で暴走中。警察の関門なんて知るか、ボケって感じに突っ走る。速い凄い。怖い凄い。
でも、音はどうなろうとボビー・ギレスピーという人の政治的な姿勢とか立場には熱いものを感じずにはいられないです。いや、別に政治的ポジションはどうでもいいんだけど、ロックをどんな風に考えてるとかですかね。40になっても熱くて、ほんとにこの人好きだな、私。
「ロックンロールはすべてを超越する。人を勇気付けるし、夢を見させてくれる。夢を見ることは大切だよ。ロックンロールはメディア操作や支配システムに対して抵抗出来る夢の武器だと思う。」
私がロックの閉塞性とかに辟易しながらも、それを愛せずにいられないのは、たぶんおんなじような理由からだと思うな。
エネルギーだけじゃなくて、勇気もくれる。色んな方法だって教えてくれる。これこそ本当に魔法だと思うよ。
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