変わらないもの

julien2004-02-24

私の庭には、なにも植えられていないスペースがある。
どの季節にも花は咲き、私はいつでも笑っていられるようにと小さな自分の世界を作ってきた。そこでは花々が光を受けてたくさん咲いている。狭いけれど、たくさんの花々がみんな生き生きと輝いている。
でも、その場所だけはいつも黒い土が太陽に向けて姿を晒したままだ。どの季節にもそこだけポッカリ開いていて、ただ、雪が降る日だけ、世界は一面真っ白になる。
花の数だけ私は笑うけれど、黒い土はやっぱりそこにある。でも、優しい雨のように涙が世界を潤してくれるなら、私はもっと泣いてもいいのかもしれないと思う。忘れそうになるから、私は黒土を残したままにする。
自分はこの庭のおかげでいつも笑っていられる。そして、あの黒土の部分だけ、私は悲しむことができる。
いつまでもそこだけには花を植えない。笑える人は、笑えない人の分だけ、誰かのために泣くことができる。自分のためだけじゃなく、誰かのためにも雨は必要なんだ。
冬はすべてが真っ白。喜びも悲しみもすべて消えて、足跡もない場所ではすべてが一つだ。でも、その下の黒土が私には大切な場所。
私の庭には、何も植えられてない場所がずっとある。これから先も、そこでは何も咲かない。私が笑っている時にも、なくならないものはあるんだ。