Primal Scream / Sonic Flower Groove (1987)


最近発売されたプライマルズのベストには、なぜか1stと2ndの曲が未収録。これに疑問を感じた人は多いと思うんですけど、並べて聞くと、確かに不調和が生まれるのは間違いないのかな。
彼らが今のようなスターになったのは、3rdの『Screamadelica』以降のこと。レイブでエクスタシーをきめて踊り狂う、いわゆるマッドチェスターのアシッドロック全盛期の代名詞のようなアルバム以降だから、その前の2作品と印象が変わってくるのは仕方ないんでしょうか。でも、実際のところ彼らはアルバムごとにコンセプトを変えていて、1stがギターポップ、2ndはガレージパンク、3rdがアシッドロックで、4thがサザンロック、5thがサイケ、6th以降がデジタルパンクといったところ。でも、確かに3rd以降は「プライマルズ」っていう個性が確立されていて、音は違うけど印象はそんなに変わらない気がする。だから、ベストアルバムにはそこからなんでしょうね。
彼らに駄作はありません。(ボビー本人を含めて多くの人は4thを低く評価するけど、私はそれほど悪い作品じゃないと思う。)どれも、個性的で素晴らしいアルバム。その中で彼らの代表アルバムは間違いなく3rdだと私も思いますけど、いちばん大好きなアルバムを聞かれれば、迷うことなく1stを挙げてしまいます。
このアルバムは、プライマルズ流のギターポップってだけじゃなくて、最高のギターポップアルバム。他のバンドが真似したのが納得の、甘くて泣きのメロディにThe Byrdsのようなキラキラギターが乗っていく。ボビーの声も甘くてへにゃへにゃしてます。とにかく、甘酸っぱさも儚さも含んだ永遠の名曲がいっぱい。ボビーがどれくらい優れたソングライターかを考える上でも最高の作品です。たぶん、この時期の音の秘密はギターのGim Beattieで、彼はこのアルバムだけですぐに脱退してしまうんですが、彼が残ってたら、おそらくプライマルズは全然違うバンドになってただろうと思われる存在感です。
ジャケットに写る水玉サイケなシャツに皮パン、マッシュルームカットのボビーも今とは違った意味で気合が入ってて、可愛いです。
実は、旧企画の国内盤にだけ収録されてる曲が欲しいんですけど、廃盤でなかなか手に入らない。
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