Taro Urashima talks about

久しぶりに音楽のことでも。

僕は基本的にはロックンロ−ル中心に聞いてたのですが、90年代後半はほとんど死んでいた(ように思われていた)ロックンロ−ルが、2000年過ぎのストロークス登場辺りから勢いづいて数年前まで盛り上がっていた(ように思われていた)。
二回も括弧書きで嫌味のように書いたのは、死んだとか復活した、とかいうのも基本的には日本の一部の雑誌がそのように書いていた(いる)からであって、実際のところはどうだったかよく分からない。何より死んでいたとしてもその期間はたった5年弱。それまでの音楽でロックンロールが占めていた割合から言えば、5年も流行らなかったのは痛手だったんでしょうか。

最近はすっかり新譜を聴くこともないので情報も感覚もかなり不足しているのですが、昨年のUSのベストヒットをまとめて見た感じだと、ロックンロ−ルなどほとんどない。U2レディオヘッドあたりは最近のバンドなどではないので、彼らはブームに乗ってるわけでもなく、ごく自然に活動を続けていると見るべきだし、真実は、UKで売れたバンドが確かにクオリティも高かったこと、ストロークスやホワイトストライプスがガレージロックとして括りやすい音楽をやっていたことから、まとめてロックンロール復活などと書かれたんだろう、と思う。実際のところ、アメリカでは2000年以前といまではほとんど傾向が変わって無い。要するにコンテンポラリーR&Bとポップなラップ中心で、何がロックンロ−ル復活なんだと思う。
UKで売れたバンドを、ブリットポップの後継者と捉える向きもあるが、個人的にはこちらのほうが正しいと思う。特に、フランツ・フェルディナンドカイザー・チーフスのいちばん売れてるバンドは当然にそうだろうし、現在のエースのアークティック・モンキーズなどは典型的すぎて言うにことかいて当たり前だろといった感じ。
何が言いたいかといえば、要するに、UKで好まれるメロディを書くバンドがブームに乗ってわんさか出てきた結果、当然のように才能のある人が発見されて売れ、それを日本のメディアがロックンロール復活の標語で煽ったということ。怖い。
インディを見れば、それこそ色んなバンドが色んな音をやっている。世界規模で売れていいようなクオリティを持ったバンドもたくさんいるでしょう。要は、どこにスポットが当たっているかに過ぎない。売れるためには、そういう傾向もつかまないといけないという経済原理です。ポリスのスティングが最初はパンクを装ったとか、そういう例はいくらでもある。その反面、バズコックスのように政治的な歌詞を書かないために、(日本で)不当に低く評価されたバンドもいる。要は音だ。社会学的経済学的な意味以外でのブームは不要だし、煽りなど無用。
メディアの厄介なところは、ロッキンオンのような売れてるもの売れそうなものならなんでもござれに路線変更した雑誌はともかく、他の雑誌はアメリカのパンクやメタル勢をほとんど無視しているところにあって、実際のところはそういう音のほうが商業的に遥かに成功している。僕はその手の音が好きなわけじゃない。基本的に保守的で同じことの焼き直しだし、何よりリズムが短調で弱い、夢中になれない。しかし、それも一つの様式であって、最近流行りのバンドだって、ちょい前に売れたバンドの音を真似してるだけだ。となれば、アメリカンパンクやメタルの人らが一人悪いわけではない、むしろ、様式として完成されているからこそ、しつこいほどに同じことの焼き直しが許されて売れているのです。
まあ、長い目で通時的に見れば、ロックンロ−ルにここまで変化が無いのは悲しいでしょうが、ある意味ジャンルとしての限界なのかもしれないし、ロックンロールの本当の素晴らしさが直接聴こえる音とは別の次元にあるのなら、表面的な音の傾向だけで、これはロックだ、これはロックじゃない、とか言うのはそろそろ止めにしたほうがいいと思う。

日本のバンドはしょぼいとか言う洋楽好きは多く、B'zあたりがその標的にされますが、日本人が聞きたいのはリズムではなく、メロディだということはコブクロあたりを聞けば分かる。いちいち人が違う耳で音楽を聴くわけないんであって、コブクロ聴く人の半分はB'z聞いてると思いますよ。
私は音楽評論家でもなんでもなく、単にジャンル関係なくポップなものをなんでも聞いているだけですが、日本で流行った音楽をずっと聴いていけば、そういう印象になる。
日本のロックについてはまたいつか書きます。

10年ほど経ったあと、最近までのブームはなんと書かれるのか、なんとなく分かるが、そんなものは読みたくない。