中森明菜 / Best (1986)


特に最近に限って歌謡曲ばかり聴いてるわけでもないんですが、感覚的には妙に合う。ところで、歌謡曲、っていうジャンルは、もうないんでしょうか。となれば、皮肉なことにもう一ジャンルなわけで、ディスクガイドでも出ればいいと思うのですが。
話は変わって、イメージによって作られるものがあるとしたら、中森さんは松田聖子さんの対極みたいな形だったのかなと思います。リアルな記憶はほとんど無いので、それも今から見た場合のイメージにすぎないとしても、物凄く陰がある歌だなと思わざるをえない。そして、イメージとは作られたものだとしても、それは染み付くものでもあるし、何よりも、人の想像力も創造力も、イメージによって喚起されるものもあるだろうし、それは凄まじい集中力を生むものなのではないしょうか。分かりやすい分、強烈なほどに良い。当時の、分かりやすい意味でのダークな、ポップサイドの最高傑作なのでは。
ツッパリ、とか、姉御、なんて言葉は、とっても分かりやすい。分かりやすいから、最大公約数のような意味で、重ねやすい部分はたくさんの人にあったんだろう。硬派、軟派なんて言葉も、大して必要ないのかもしれないけれど、二元化された分類は分かりやすい。拡散するよりは、たぶん優しい。大きな意味で社会を繋ぐ媒介物になる。二元論は云々などといいつつ、人間の足は2本なんけどなと思ったりする。
とりあえず、陰のあるものは綺麗です。輝くものというのは、何もいつも日あたりにあるわけじゃない。スポットライトのほうがずっと明るいのかもしれない。
分かりやすい構図が欲しい。テレビが妙に明るくて気味が悪い。