中谷美紀 / 食物連鎖 (1996)


”弟”から教えてもらったアルバム。これ、もう10年前の作品なんですね。中谷さん自身が良い意味で変わっていないように見えるので、そんなところも不思議ですが。そんなことはどうでもよく、もっと問題なのはこれ今では廃盤なんですね。そして、M1"Mind Colors"もM2"Strange Paradice"も、中古盤でも買わない限りは聞けない、と、こっちのほうが不思議。
大ヒット曲も持ってる人なので、それに比べるとこちらは一般的にはマイナー、のように思えて、内容は圧倒的にこちらのほうが良いのでは。
元アイドルだけあって(元アイドルなのにと言うべきか)歌は相当に巧い、それ以上に声が良い。女優は声が良くないと厳しいのでしょうが、この人の声の存在感は、昨今の沢尻某や長澤某を百万光年突きはなすように思う(特に後者は、歌った曲のせいもあってちょっと勘弁して)。

例の大ヒット曲と同じくプロデューサーは坂本龍一で、こちうは片手間でない作り込みよう。他にも大貫妙子小西康陽が曲を書いていて、売れ線狙うだとか、アイドルは歌うもんだ、などというどうでもいい要素は皆無。フォーライフは凄いレーベルだったんだなあ、と、昔のものばかり聞いてれば、10年前なんて最近じゃね、とか思うものなのに、その最近が実は色々良かったんだとかじじくさく思うのでした。
メロディにしても、素晴らしい曲ばかり。サウンドはジャジーだったりハウスだったりと全体的にクラブを意識したような感じでも、色んな意味で坂本教授の趣味傾向は強いですが、古臭さは感じない。それはおそらく中谷さんの声の力も大きい。


それにしても、こういう作品が廃盤になるシステムが恐ろしい。これをアイドルポップスと分類するのはともかく、評論家ももう少しまともな評価すべきで、出来上がったジャンル内で”名盤”を称えるのはいいですが、もう少しこういうポップスを大事にしてほしい。


まあ野暮な話はどうでもよく、いつ聞いてもこれは好きですね。最近は歌っていないようですが、久しぶりにどうでしょう。