くるり / NIKKI (2005)


相棒から「ビートルズ好きなんだから気にいると思うよ」と言われて、(これまた)今更ながら聞いてます。相棒が反応する音楽に外れなんかない。あいつがいてくれて、僕は前よりも音楽が好きになった。そして、2005年にこのサウンドを持ってくるくるりも凄い。
くるりは、どこか切なくて胸が締め付けられるのに、けれど、そこにずっといようとなんかしない。どこか居場所から浮き上がっているようで、ちゃんとそこに居る。そこで不安になるのではなくて、その瞬間をその瞬間に刻み込んでしまうような感覚。それはきっと、1st『さよならストレンジャー』の1曲目”ランチ”から、たぶん変わらない。当時あれを飲めなかった僕は、不思議にこの瞬間にちゃんと繋がっていて、もうその珈琲の温度を身体で知っているのだ。あの冷めた珈琲は、冷たくなったのではなくて、冷めてしまっただけだってことを。

NIKKIは日記。だから、近くて遠い過去のこと、過ぎ去った時間のことを、この瞬間のなかで綴って、歌うんだろうか。"Baby,I Love You"も"Superstar"も、感傷的になんかならなくても、ただ聞いてるだけで泣いてしまう。それは、僕が弱虫だってことだけじゃなくて、ただ当たり前のことを忘れてしまっていて、それを想い出させてくれる体温があるからなんだろうな。
最後の"(It's Only) R'n R Workshop!"が個人的にキラー。
「世界中の誰よりも大好きなあなたのメロディ、聞かせて、おねがい。野蛮でずぼらな僕らの心に、届けて、おねがいだから。」