PSE法

id:quawabeさんのところでも書かれていますが、2001年に改正施行された電気用品安全法(PSE法)による中古電気用品の販売規制が4月から始まります。
こちらに詳細が書かれています→http://antipse.org/index.html

ちなみに、ここには「2001年に施行された」とありますが、この法律の制定は昭和36年なので、改正施行と言うべきですが。
個人的に衝撃だったのは、2001年時に猶予期間5年とされていたのに、直前のいまになって騒ぎ始めるあたりが、まあ仕方が無いと思いつつ、猶予期間の虚しさを感じますね。


とりあえず法庫(http://www.houko.com/00/01/S36/234.HTM)でPSE法の目的を見てみると、

(目的)第1条 この法律は、電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。

とあるので、今回の騒ぎの原因である「中古品の売買が自由にできなくなる」ということが、「電気用品による危険及び障害の発生を防止」のための措置であることがはっきりしますね。
一部機関の利潤のためになされたのでは?という指摘されている疑惑については、大いにありそうだ、と思いつつ、証拠もなにもないので置いておきます(おくしかない)。


今回の問題の核心は、やはり「PSEマークがなければ一切販売できなくなる」という規制の程度にある。
下手をしたら(しなくても)、憲法の規定する営業の自由(憲22条)への大幅な制約にあたるので、憲法問題として大きな裁判が起きる可能性もありますね。
日本の裁判上、施行されていない法律や、法律の内容自体に対する裁判は許されていないので、制約がなされて初めて裁判、ということで、どちらにしろ4月以降の問題になります。
つまり、法律を作る人間は選挙で選べるんで「こういう法律を作られたくなかったら選挙で落としなさい、間接的に国民主権になっていますよ」という中学生でも知ってる話なんですが、この仕組みはなかなかうまく機能しませんね。


どうなんだろう、中古品販売に対しては、音楽業界も家電業界も眉をひそめてるフシがあるので、その辺に問題があるんじゃないだろうか。
というのも、今回の問題は、「PSEマークを付けないと販売できない」し、「以前のこれが貼られていない製品の販売ができない」ことにあるので、最初からPSEマークをつけて販売すればいいし、過去に作った商品の販売なんかに興味があるわけのない家電メーカーには、痛手でもなんでもない。むしろ、中古品が変えなくなった消費者が、新品を買ってくれる、ということで、歓迎してるんじゃないかと思われます。
情報のあまりの漏れなさ、マスコミの反応のなさ、などから、この憶測は間違っていないと思う。つまり、背後には、家電メーカーがいるんじゃないの?ってことなんですが。


他にも指摘されてるように問題はあります。規制のザルさ加減、かえって粗悪品が氾濫するのではというおそれ、それに対する対応の無さ、などなど。
官僚がひどくて、いつも事後的対応で対策してる、っていう現状は何も変わりません。
でも、これって、この法律自体が悪いわけじゃあないと思う。さっきも書いたように、法律の目的「自体」は筋が通ってるし、安全確保のための事前防止に資するとこはたくさんあったでしょう。
「すべては予測できない」なんて官僚の人はうそぶいてるみたいですけど、本当に仕事してるのか、一般の感覚からはありえない発想です。たいして考えてないのに、「すべて」なんてね。そういうのは、もうちょっと突っ込まれないだけの対策立ててから言ってよ、って。
というか、事後的対応は、企業の自主性うんたらではなく、製造物責任法や担保責任で解決するんだから(要するに、PSE法が規定するのが国と業者との問題でも、危険な商品が出た後の問題は、業者と消費者との問題なので)、適当なことを言って逃げる官僚の人は何も考えてないんでしょうね。


これは、やっぱり中古品販売業界への、計画された規制(というか潰し)なんじゃないでしょうかね。結果、中古品が買えなくなって、被害を国民が受けるという恐ろしい構図。
背後にいるのは、、、やっぱり。


なお、この問題に対して、どう戦っていくか、ということを個人的に考えると、この法律自体に対して戦いを挑むのは、至難というか無謀に近いと思う。
というのも、営業の自由という経済的自由権への規制、その規制目的が形式的にはっきり「消費者の安全」にあるので、裁判所の合憲性判定基準から判断するに、まず勝てない。
「公共の福祉」のためのやむをえない制約、ということになってしまう。

法律が違憲無効になることは、ほとんどなく、処分の違法性判断にしても、手続き上の問題がひどい、とかじゃないかぎり、ありえない。
こうなってくると、日本の司法制度自体の問題にもなってしまう。
とりあえず、「現実の事件」が起きない限り、何も言えない。

どうだろう、この法律によって、消費者の生活にかなりの影響が出るよ、リサイクルにも逆行するよ、ということをアピールし、説得力を増す材料を集めていくしかないのでしょうか。
ただ、僕としても腑に落ちない点が多すぎるので、しばらく考えてみます。