The Strokes / First Impressions Of Earth (2006)


今年の一発目ということで、ストロークスの3枚目。
さすがというか、彼らは裏切らずに進化しているというか、かなり凄い作品。最初に聞いた時は、シングル"Juicebox"のあまりにハードな展開にびっくりしましたが、全体としてはストロークスだなあと思わせる個性はちゃんと残ってます。個人的には、全ての楽器が前よりも自立しながら、一つの曲を構成していく様に1st以来のショックと、ああ、これがストロークスの魅力だったんだなあと再確認できて嬉しい。
それでいながら、前作のエモな部分はさらに膨らまされていて(過剰なほどに)、前二作をちゃんと継承しながらステップアップしているということに凄いとしか言えません。
前からドラムのファブとベースのニコライが要だとは思ってましたが、彼らが今回も完璧にリズムを作るので、ほとんど暴走してるニックと、知的なアルバートツインギターも思う存分に音を出すし、ジュリアンのけだるいボーカルは前よりも自由かもしれない。無敵のアンサンブル。
とにかくここまで緻密に音が構成されると、ほとんどプログレかと思ってしまう瞬間もある。なのに、断じてそうじゃないとは思うし、全体的にアートな感覚も受けるし、ポップな点も変わらない。いやあ、凄いです。
ただ、中番の曲の出来が今ひとつかなあとは思う。後半(特に"Evening Sun")が凄いので、ちょっと勿体ない気もする。そういう点では、作品として1stを超えたとは思えない。ただ、彼らは絶対にリスナーを裏切りませんね。前にかわべさんが安心して新作を聞ける、と言ってましたが、まさにその通り。これでさえ、さらにステップアップへの過程にすぎないと思わせる点にはもう脱帽。さすがは僕らのストロークス。85点。