Szymanowski / Symphony No.3 "Song Of The Night" Op.27

Simon Rattle / City Of Birmingham Symphony Orchestra (1994)

Elzbieta Szmytka (S) , Florence Quivar (MS) , Jon Garrison (T) , John Connell (B)


シマノフスキはヴァイオリンなどの小曲(初期のロマン主義的なもの)などではたまに耳にするのに、大曲はほとんど上演されない。同じポーランドの大作曲家でも、ショパンとは生まれた時代も違う。彼が35歳の時にボリシェビキに襲撃され、大切なピアノは遊び感覚で池に投げ捨てられたそうです。こういう話を聴くたびに、自分は死ぬほど革命が嫌いなんだなと再確認する。保守的だって構わない。暴動に加担するくらいなら死んだほうがいい。
「夜の歌」というこの交響曲は、タイトルこそマーラーにも同じものがあるけれど、相当に違う。たった25分という短さもあるけれど、この曲には昼が対置されていない。挿入される歌は、ペルシアの詩人ルーミーのものですが、単なる神秘主義といった感じとも違う。やはり「昼の歌」がない時代の曲。私の知らない「夜」の歌。
マルクスのテキストを読んだだけで、何が見えるのかと思う。歴史を学んだところで、この曲の凄さを知らなければ、なんて偏った世界に見えてしまうんだろうとさえ思う。

それにしてもラトルの指揮の見事なこと。この人の場合、単に現代曲が好きだからとか、誰もやってないから振ってるだとかだけじゃなくて、とにかく解釈がもの凄い。軽く見られているような気がするけれど、尋常じゃないくらいに天才的指揮者だと思う。何が凄いって、宗教曲なのにこの透明感とクールさは普通じゃない。なのにちっとも不自然でも下品でも大衆的でもない。彼の悲劇的な人生を過剰に意識させることなく、音自体を冷徹なほどに磨いて響かせる。民族色も強いはずなのに、少しも重くない。濁りなどみじんもなし。ありのままに浮かび上がる曲の前で、私はただ耳を澄ませるだけです。美しいですが、聞いていて楽しいとかじゃないんですけどね。そういうものもあるってことでしょうか。
バーミンガム響の水準の高さも見事。この曲の数少ない録音みたいですが、水準では並ぶものもないのでは。「スターバト・マーテル」と「聖母マリアの連祷」も一緒に入ってます。