Dvorak / Symphony No.8 in G Major Op.88

George Szell / The Cleveland Orchestra (1970)


塾で教えてる子に吹奏楽部に入ってる子がいまして、来年の曲はこれに決まったそうです。
有名な第9番(新世界)とどっちにしようかと迷った末に、技巧的にこっちになったそうですが、その子は第二ヴァイオリンなので、美しい第3楽章がリズム刻むだけでつまらないと言ってました。
で、その通り、この曲のメロディは新世界に負けないくらいに美しいし、曲全体としても素晴らしい。例によって、美メロに耳を済ませてれば曲が終わってしまうという変わった編成で(ベトヴェンみたいにブロックを積み上げていかない)、バカな評論家は構成の緻密さに欠けるとか言うんですが、勝手に言わせておきませう。そう、神は細部に宿るわけです。で、その細部が響きではなく、メロディなわけです。ドヴォルザークがゴミ箱に捨てたメロディで交響曲が書けるというのはブラームスの言ですが、確かに凄い美しいメロディの連続。出し惜しみなし。こんな人がポップ・ミュージックを書いたらエライことになったんでしょうが、彼はそんなには歌曲を書いてない(有名なものはなし)。不思議な人です。
あ、副題の「イギリス」はほとんど意味ないので(出版元がイギリスの会社だったというだけ)、最近は表記されていないものも増えましたね。

これは(恐怖の)独裁者ジョージ・セルが私兵のクリーヴランド管を振ったもの。完全主義者の名に恥じない完全無欠のバランス感と響きで、どきどきもびっくりもなく安心して聞けます。ただ、これだけメロディがいいんだから、もう少し主観が入ってもいいかなあとも思いますが。