Schumann / Symphony No.4 in D minor, Op.120

Wilhelm Furtwangler / Berliner Philharmoniker (1953)


シューマンは私がいちばん好きな作曲家。激しい感情にも、恋人、友人、同世代人への愛情にも、担っていた使命感にも、本当に憧れる。
彼の作品はいっぱい聞いてますが、そのなかでもいちばん好きな曲はたぶんこれ。特に、絶望と歓喜の両端をひたすら逡巡するような第一楽章が。
この曲が初演で大失敗だったなんて考えられない。4番といっても、実際は《春》の次に書かれたので、正しくは2番目の曲。失敗を経て多少いじったみたいですが、若きシューマンの感情が溢れんばかりで、たまらない。
そして、こういう曲をやらせればフルヴェンは無敵。53年と古い録音で、ノイズも混じってますが、スクラッチノイズはないし、音質もそれほど気にならない。というより、音質とかいう次元じゃない。最初の必殺アインザッツから最後の一音まで、ロマンが波のようにたよたい、ゆらぎまくりながら、ブレなど一切なし。曲間なく(もともとそういう曲)ひたすら最後まで洪水のような音とエネルギー。第3楽章からの爆発するようなオケの迫力には言葉も出ない。ロマン派は圧倒的なものであって、それ以外でなくていい。そういう妥協は不要だったし、器用に生きることがクールなどでは全然なかった時代の音。冷めた感覚など、世界をひたすらつまらなくするだけ。
ところで、これのカップリングの《マンフレッド》序曲も凄まじい。で、結論として、私はフルヴェンが描きだすマンフレッドほどの絶望や喜びを経験したことあるんだろうかと思いながら聞くわけです。