Chausson / Poems Op.25

Jascha Heifetz (v) , Izler Solomon / RCA Symphony Orchestra (1952)


ショーソンの詩曲。秋の夜長に聴くと本当に良い曲。ヴェルレーヌの言う秋風のすすり泣きっていうのはこういうヴァイオリンだと勝手に思い込む。この演奏は、ピアノ伴奏じゃなくオリジナル通りにオケがバック。これを第一楽章に、ショーソンには協奏曲を書いて欲しかった。
ハイフェッツの演奏は全ての音に情感を込めて、切なくも美しい主題を自在に奏でていって、もう言葉も出ない。そしてオケとハイフェッツの弦の震えが重なっていく美しい旋律で、私はほとんど忘我になる。同じアルバム収録のツィゴイネルワイゼンに至っては、サラサーテの自作自演以上だと言われたそうですが、サラサーテの自演は録音もないので何も言えない。
ただこんな曲ばかり聴いていると、目に映る世界が嫌になってしょうがない。そういう意味では、時間という存在を罪にさせてしまうような危険な曲。いえ、言葉で遊んでいるのではなく、本当にそういう曲です。実を言えば、随分と久方ぶりに聞いたのでした。