Echo & The Bunnymen / Crocodiles (1980)

julien2005-10-16


Genre : Neo-Psychedelia , Post-Punk , New Wave
ポスト・パンク」なバンドが溢れに溢れて大洪水状態なので、久しぶりにこれを聴いてみた。個人的には、ギャング・オブ・フォーの1stと並んで物凄く好きなアルバム。
で、当時のイアン・マッカロクがあまりにいい男だということを除いても(最近のこの手のバンドはルックス的には全部いまいち)、これは超越的な作品だと改めて思った。確かに最近のバンドも粒の揃った良い曲を書いているし、フランツを筆頭に、ブロック・パーティーやフューチャーヘッズあたりはアルバムの完成度も高い。でもねえ、やはりこの辺りと較べると格が違う。ジャケットもため息が出そうなくらいな美意識が屹立しているようでパーフェクト。
私はニューウェイヴのリアル世代でもなんでもないので、深い思い入れなんかはないんですが(ジョイ・ディヴィジョンは例外)、音の背後から感じるものがやっぱり違う。
端的に言っちゃえば、最近のポスト・パンクバンドには、明確な表現意思を感じるんですよ。時代の空気が、ある音を呼び覚ますのではなくて、アートとしてのサウンドといった要素を強く感じるのは私だけでしょうか。
もちろんフランツはそれでいい。彼らはアートスクール出身だし、イメージデザイン含めて、あえて意図的にやってる。その辺りが、最高だと思いながらも、完全に気持ちが入り込めない理由なんです。
このバニーズ1stの凍りつくような空気や、それを切り裂いて行くようなリズム、ギターは、やはり何時聴いても凄すぎる。その辺を強調すれば、その後の2ndや3rdのほうが上でしょうが、この1stにはうたとしての良さもある。これが出た当時はバニーズも新人だったんだから、今の新人に私は狂喜したりしすぎなのかも。
で、野太い声の色男と来れば、当時はこれがドアーズと比較されたのも納得ですが、いまのポストパンクバンドと較べると、それでは収まりきらない別の側面も見えてくるのでは?ネオ・サイケデリアというありきたりな区分ではなく、あえて最近のポスト・パンクと並べて彼らを聴くと、閉塞感なんてものは自己愛的な美意識(U2との違いはこれ)と、言語以前の衝動と、強い自我(自信過剰?)で打ち破れるのだよ、と教えてくれてるみたい。Do it Clean!!


ちなみに、別に過去のバンドがベストで、今がダメだなんていいたいわけじゃない。でも、似た音が出てくるっていうのは、無数のサウンドのなかから選ばれてるわけなんだから、どこかに理由ってものがあるはずです。それはもしかしたら閉塞感なのかもしれないし、ダークでクールなものへの憧れなのかもしれない。なら、やはりそれを音を通して感じたいのに、実際はそうじゃない。それってつまりは、どこかで大事なものを制御しているからじゃないのかと思う。要するに、最近のバンドには無駄なものが少なすぎるってことなんです。抑えようにも抑えれられないものっていうのを、私は感じたいってだけなんですが。