ようやく出たが、出なくても良かったかも

夕刊見て驚いた。首相の靖国参拝に大阪高裁が違憲判決。
中曽根時代に「違憲の疑いが強い」とはされていたが、今度のははっきり違憲だと言い切った。さらにポイントは、実は原告敗訴なので、被告たる国が最高裁に上告できないとこですね。要するに、原告(特に代理人たる弁護士)側は「主文」ではなく、「理由」中の違憲判断を欲しかったわけで、負けたといっても上告はしない。日大の憲法の先生はこれに憤っておられるようですが。
ただ、昨日の東京地裁での別の判決では、原告敗訴な上に違憲判断もしていないので、原告側が上告するようです。いずれにしろ最高裁の判断も出るでしょう。ただ、僕は違憲にしないんじゃないかと思いますが。


ちなみに、20条3項の「宗教的活動」にあたる、っていうのは、政教分離違反のことです。公権力と特定の宗教団体がくっつくとロクなことがないですからね。戦前の反省です。あとは、アメリカ法の影響ですね。
ただ、議員はそれが気にいらないようで、そんな憲法なら変えればいい、なんて声も聞こえる。将来に責任を背負おう気のない奴っていうのは恐ろしいこと言うもんだな。


政教分離違反を判断する基準に、目的効果基準っていうのがあるんですが、判決要旨を見る限りは、今回のも同基準を使ってますね。つまり、違反の疑いがある行為の目的が宗教的か政治的か、行為の効果が特定の宗教を振興又は抑圧するものか、加えて、その行為が国と宗教団体との過度の関わりを促すものかどうか、という3つを中心に判断するわけで、今回もこれを使っている、んですが、どうも当てはめが恣意的かなあと感じる部分もある。昨日の判決と較べてみたいですが、面倒なので探してない。
個人的には、違憲で当然だろうと思っています。が、もう少し厳密にあてはめで判断して、改憲とかすぐに言い出す連中の反論の余地もないくらいにしてほしかったなあとは思う。


あと気になるのは、どうにも違憲判決のタイミングが悪い。11月から憲法改正の議論が始まるだろうという時期の直前ですよ。何が困るかといえば、9条の問題なんかはマスコミも国民も関心も高ければ、判断もしやすいから、議員どもが変な改正案出しても突っ込んでいけるでしょうが、政教分離に関してはそうもいかない。趣旨から、基準など含めて、内容はかなり難解ですから、おそらく一般国民の判断能力が付いていけないと思う。どさくさに紛れて、こういう制度的保障と呼ばれる部分の改正がなされたらたまったものではないです。恐いな。。