Nine Black Alps / Everything Is (2005)


シングルの"Shot Down"聞いてから、これはいける、と。アルバム出たので即買い。
で、感じた通りに、これは最高すぎる。たった35分で無駄もない。ただし、一聴はオリジナリティ無し。ニルヴァーナか?と誰もが思うであろう最初の3曲(どれも実に良いですが)。
しかし、そこからも凄い。アルペッジョのギターが美しすぎる4曲目(まるでweezer)、必殺の5曲目、エリオット・スミスですか?の6曲目、無敵の"Shot Down"が8曲目と、繋がり、流れが絶品。バランス感覚とセンスに嫌でも夢中になる。
なんだろう、とにかく楽曲の出来が素晴らしいんですね。これが唯一つの言えること。あとは、全然UKっぽくない。USのバンドみたい。
そして、ジャケットも抜群。真っ白な雲を背景にした顔のないウサギ、空にかかる血のような赤。その奥には青空があるのに、それはさりげなく。ただとにかく満たされないし、満たされることを望んでさえいないことだけはひしひしと。
この音の背後にあるのは、けっして明るいものじゃないし、彼らはそれを分かりすぎているんだろうけど、そんなことに酔うこともない。ただギターがかき鳴る。これだけで充分、というか、そう思わせる音しかここにはない。鳴ってるだけの本当に無駄のない音。
彼らのバンド名はシルヴィア・プラスの詩から来てるんですが、それを表面でなぞったりもしない。ニルヴァーナに似てる、とか言って批判してるだけの連中はそんなことを考えたりもしないんだろうけど(というか、インナー見ればネヴァーマインドの泳ぐ赤ちゃんいるわけで、本人たちは貴方がたの反応を当然に予測してますよ)、私は彼女の詩が好きだから、どうしてもこのギターの向こう側に感じるものがあるんです。悲しみは影であって、主役じゃない。ただ、それを自覚して生きる力があるだけ。彼女の言葉はめそめそしたりしていない。
とにかく、これは本当に良い。破格。イライラしないで久しぶりに今の音を聞いてる気さえする。聞いてる時はなーんにも考えてません。個人的に今年上半期の最高作。