民営化、その後

電車事故の報道が過熱してますが、原因究明に関するものだけでなく、運転士の置かれていた会社環境やら色々な情報が溢れていますね。専門家でもない私が話すことでもないので、何も語りませんが、原因となる「過失」を見つけ出しては、それを叩くだけの報道にも、それで済まそうとする企業にも呆れます。
人間がミスをするのは当然で、企業も社会もそれを前提にして経営なり運営がされるべきです。オーバーランに関して嘘の報告がなされたことも、再教育とは名ばかりの懲罰が下されていたことを考えれば当然です。オーバーランにしても、彼らのミスがどこに影響を与えるかを考えれば、どういった意味での訓告なり罰則が下されるべきかは重要な部分でしょう。要するに、乗客の安全や信頼、それに影響される限りでの企業の損失が守られるべき価値なのであって、単なる体罰や精神的な屈辱を与えることに何の意味があるのでしょう。彼らが精神的に大きな負担を抱えたり、運行に関しては事故の危険性を増大させるようなノルマを課すなど、危機管理の観点からも愚かとしか言いようがないです。これだけ多くの方が亡くなった事件に関して金銭の話をしたいとは思いませんが、結果、JR西日本は、莫大な損害賠償金および信頼の喪失による企業イメージの大幅ダウン、さらに、経営責任追及による役員の辞任(確実にそうなると思います)など、果てしないほどの損失を生んでいくでしょう。
そもそも、オーバーランによって他社のダイヤを含めた大幅な影響を及ぼすことになっていることにしても、安全や従業員の労働環境の確保とのバランスを無視してまで利益を上げようとする方針がそもそもの発端なのだから、当然、それに伴う従業員の負担の増大は覚悟すべきだし、その結果ミスが増えるのも予想されるものです。にもかかわらず、そのミスを無関係な懲罰によって減らそうなどという発想が間違っているのであって、オーバランによる経済的損失が嫌ならば、駅に自動停止システムなりを取り付ければ、そんなミスは防げるわけです。
そもそもミスが多いのなら、なぜこんなにミスが起きるのか、ということを考えるべきです。こういう当たり前の発想がないことに、問題の根本はあるのだと思う。「それは、ダメなやつが多いから」なんて考えて満足している人間の気が知れない。
過失が責められるばかりの社会は、人間はミスを犯すものだということを見誤ってるし、上のような意味で、経済的にも危機管理や安全対策でも、重大な影響を及ぼすものです。
はっきりとした原因はまだ不明ですが、これは紛れもない人災ですね。亡くなられた多くの方があまりにお気の毒で、ただご冥福をお祈りすることしかできません。


これとそれほど関係のある話ではありませんが、先日、大阪から新幹線に乗った友人が、切符を無くしたことを駅員に言ったら、無賃乗車だと一方的に決め付けられ、4,5人で取り囲み、持ち物検査などを本人の許可も得ずに行い、携帯を勝手に使って人に連絡を取るわ、鉄道警察まで呼び出して犯罪者扱いするわ、最後には3倍の料金を払えと強要するという、感覚的にはいかにもありえそうで、でも、ちょっと考えれば絶対に許されないような行為をされたそうです。名誉毀損だと怒っていましたが、場合によっては、恐喝行為ですよ、これ。どうも債権の取立ての枠を超えてるふしがあります。

で、相談されたので調べてみましたが、鉄道営業法には乗車券の紛失に関する条文があって、原則は当然に「通常料金」を再び払うことで、場合によっては割増分を支払うとなっています。そして、この割増料金の具体的内容については、鉄道運営規則(省令)によるとなっているので調べると、ここには「割増分は2倍以内」とはっきり明記してある。
どういう基準で「3倍」を取っているのかは不明ですが(おそらくJR独自の規則)、無くしただけで、調べもせずにこれだけの罰則を一方的に課すとは信じられない。まともな調査もなく、犯罪者だと一方的に決め付け、さらに人権を侵害するような行為を行ったうえで、この規則。こっちはJR東海とはいえ、思わず事故のことを連想してしまいましたね。こういう非常識が当たり前の企業なようです。乗客のことを考えれば、潰れたほうがいいかもしれません。