推定少女 / 16 〜six teen〜 (2003)


これを持ってきたことの理由は置いとくとして、最近よく聞いてるアルバムです。というか、最近初めて聞きました。
制服着てる二人組ってことで、和製T.A.T.uとか言われてましたが、この人たちのほうが先のはず。となると、本家はロシア版推定少女といったとこか。
個人的にアイドル・ポップスって時代が自然に現れるので好きなのですが、明るいポップ・ソングばかりな最近のアイドルに比べても、この作品のセンシティブで切ない曲って、意外とアイドル・ポップスの王道なのでは、と。
"情報"や"失恋ソング"、"ワレモノ"、"間違い"といった曲群は、ガラスのように切ないメロディを持った紛れもない名曲。アマゾンの書き込みによれば、「女子高生にカラオケ歌わせただけ」とどこかの雑誌に書かれたそうですが、こういうのは狙わないと絶対に作れない。歌の良さって、歌唱力の良し悪しだけじゃないですね。
傷付きやすく、夜の街に溢れる実際の子供たちと、虚構のアイドルのギャップが開く一方で、あえて明るくはなれない面を強調されたほうが、私には嬉しかったりする。"ワレモノ"は、浜あゆの"TO BE"のほぼパクリなのですが、あゆがどれほど虚像としての「あゆ」に意識的になろうが、結局失わざるをえなかった部分って、こういう側面だったのではないのかな。
"鍵が開かない"は、現代版の"傘がない"(井上陽水)でしょう。「だけど鍵が開かない 家に入りたい 他に変える場所はないの」というフレーズは、あまりにベタに感じる一方で、これに代わる歌が他にないことを考えれば、自意識を強く持って、どちらかといえば強くて憧れの的のような存在になりたがる女性シンガーソングライターにはけして歌えないものだと思った。