Scissor Sisters / Scissor Sisters (2004)


今頃になって聞いてます。某大手レコ屋でメタルだとか書かれていた記憶があったのですが、きっと目の錯覚だったのでしょう。試聴すべきでした。
まるでビージーズが現代に甦ったような既視感ばりばりなサウンド。そのくせ、ニューロマっぽさもあり、プライマル並みのアシッドの波のなかで踊っているような感じもあり、いやいや、実はビートルズだろうといった雰囲気さえも持つ恐るべきバンドですね、これ。ジェリーフィッシュに近い感じもしますが、よく考えれば、全然違いますね。ところどころ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドも顔を覗かせてます。しかし、これは間違いなく2000年代の音。
メンバーはゲイの方ばかりだそうですが、寛容どころか、それを楽しんでしまえる向こうでは大ウケ。エレクトロ・クラッシュからちょっとしか経ってないのに、NYでは何が起こっているんだろうといった感じがします。
ダンス・ミュージックは死んだなどと呼ばれ、あのケムズでさえもがこの状況には嘆息してましたが、確かに90年代のテクノやらハウスやらが危機的状況にあるのは本当なのでしょう。その反面、今はロックが最高、とか騒いでる連中は本質を分かってません。ロックが最高なんじゃなくて、2000年辺りから出てきたロック・バンドの音が最高なのです。「ニュー・ロック」(何が新しいんだか不明)だとかバカなことを言いながら、ブームが終わって泣いたりするのはつまらないですから。
とにかく、ネタ切れしようが、ちょっとした視点の切り替えでいくらでも良い音楽は作れるんだという好例です。
やっぱり今はニューウェイブ・リヴァイバルですね。いや、音がニューウェイブっぽいんじゃなくて、色々な音楽が過去のものを吸収しながら、新しいものをどんどんやることがそうなんです。フランツやフューチャーヘッズの人気で再結成までしたギャング・オブ・フォー。確かに、彼らの音(ギター)がニューウェイヴ・リヴァイバルの象徴なのは確実ですが、彼らだけじゃなく、カルチャークラブだってスタイル・カウンシルだってバナナラマだってシンディ・ローパーだって、みんなニューウェイヴだったんですから。ファッションに関しては、ニューウェヴって呼ばれるのはシンディのそれですしね。
とりあえず、シザーシスターズ。最近では、キャラ的になら、キッチュで楽しくて笑えるという意味ではダークネスと重なる感じですが、これまた全然違いますね。むしろサーファーローザあたりとリンクするのかな。でも、こちらのほうが実力では遥かに上。これは紛れもなく本物です。とにかく失速しないことを祈ります。
個人的には、去年聞いていなかったのを悔やみます。間違いなくベスト10に入るアルバムでした。