John Cale / Paris 1919 (1973)


なぜメイキンタイムの次がケイルなのか。無理につながりを考えようと思ったが、意味がないので止めよう。この時間の僕にとって来るものがあったということにすぎません。
ヴェルヴェッツといえば1st、ウォーホル、そしてルー・リードといった印象が世間的には強いんでしょうか。そりゃクラブ帰りの早朝なんかは大抵アタマの奥で"Sunday Morning"が流れているけど、いや、俺にとってはやはり2nd。ホワイトライト、ホワイトヒートの暗闇に点滅する光に勝るものはない。ケイルはポップ・アートを拒否する。これはやはりブルーズなんである。それ以上に、ラリってても彼はアイルランドの紳氏なのである。
お洒落でダンディなこの理性的な紳氏の負の部分が輝けば輝くほど、アンダーグラウンドコマーシャリズムを突破する。しかし、そんな彼の内面がどれだけ穏やかなものでもあったかを、このアルバムは示してくれる。タイトルが意味不明だとか笑っちゃいけない。1919年、ベルサイユ条約が締結されたパリ。しかし、世界から暗黒が失われたことなどは無い。それは一日に夜があるのと同じことだ。喧騒の後には静けさが訪れ、そしてまた夜を迎える。”黒い天使の死の歌”は、繰り返される。だからこそ、この美しく優しいフォーキーでトラッドなシンガーソングライター的な作品の意味もそこにある。黒い天使も、昼間にただ眠っているわけじゃないのです。

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パティ・スミスザ・フーの"My Generation"をライブでカバーした音源があるんですが、そこでケイルもベースを弾いている模様。曲中にパティが「じょーん、けぇーる」と紹介すると、うなりをあげたベースが。そう、彼女の1stをプロデュースしたのは彼ですからね。にしても、凄いプロデューサーです。感謝。