Rachmaninoff / Concerto No.3 in D Minor, Op.30


昨日に続いてラフマニノフの協奏曲。
彼の作品中では昨日の2番がいちばん有名なんですが、最近ではこっちのほうが知られているかもしれません。映画『シャイン』をご覧になった方なら、主人公がこの曲に挑戦して病気になってしまうことをご存知かと思います。超難曲。聞いているだけでゾクゾク。
高度な技術の上に、リリシズムと男性的な力強さとを両立させなければ演奏不可能な曲です。
実際に音大生(♂)にとっては必ず挑戦したくなる曲みたいですね。
これもラフマニノフの自演盤が素晴らしいのですが、今日はそっちと同じくらいに好きなエフゲニー・キーシン版。
1993年のライブ録音。指揮は小澤征爾、オケは勿論ボストン響。デジタル録音。
ロシアの天才少年キーシン。当時弱冠23歳。でも、すでにキャリア10年。
ジャケットの自信に溢れた表情そのままの素晴らしい演奏です。若さで情熱を燃やすのではなく、ゆったりとしたテンポで一音一音を曇らすことなく、ずば抜けた構築性を保ちながら、この難曲を見事に弾ききっています。キーシンは本当に音が綺麗。カデンツァにはため息出ますね。
力強さと繊細さを兼ね備えた当代最高のピアニストだと思う。若き日のポリーニもこんな感じだったんでしょうか。
例えば第三楽章の始まり。この素晴らしいオープニングを、燃えすぎる人は勢いで持って行ってしまうんですが、そうすると15分あるこの楽章のバランスが崩れてしまう。でも、キーシンはテンションは高めながら、バランスを崩すことなく見事に弾きます。お見事。

それにしてもライブの臨場感がいいです。小澤さんの燃えっぷりもキーシンとの相性抜群でこの曲の持つデモーニッシュな面を見事に引き出しています。
最後の拍手では、僕も聴衆と一緒になってパチパチやってます。