Winnyを巡る議論

あちこちで議論が活発化してますが、ちょこっとまとめてみました。


1.逮捕の要件は「著作権法違反幇助」

まあ、こんな罪状は世界初です。アメリカでは、こうした幇助でソフトの製作者を逮捕はできないという判例があり、かなり驚いているようですね。とりあえず、幇助の解釈をどこまで拡大できるのか、これが裁判でのポイントにはなるでしょう。もっとも、警察もこの罪状だけで立件できるとは思っていないようで、他の罪状と合わせてやる模様。ただ、技術は使いようによっては生産性にも繋がるものです。「刃物は人を傷つける可能性があるから」なんて理由でその使用を禁止したら、料理ができなくなって何も食えなくなる、っていうことになっちゃうわけで、この辺りには気を配っていただきたい。日本のこれだけの技術を無駄にするのは勿体ないです。研究者がソフトを開発することへの萎縮的効果が起きそうで心配です。


2.隠されている逮捕の真意

  • ある業界の大物はレンタルCDさえをも規制したがってたまらないような人間で、さらにそいつの息子がWinny&MXの愛用者だったから、余計に感情的になっていた。で、そいつの働きかけが大きかった。
  • 京都府警の阿波氏は、バリバリのキャリアで、出世競争に勝つために大きな手柄が欲しかった。

ほんとか?って、まあ、こんなのがどこまで本当かは知りませんが、おそらくこういう諸般の事情の複合したものが動機でしょう(そんなの当たり前だろ、と言われそう)


3.逃げ腰な面々

某所で「2ちゃんねらーは敵に回すと恐いが、味方になると頼りない」なんて笑われてましたが(私も大笑いしましたが)、実際に批判ばっかで、こういう自体に対処する方法は何にも考えられない人が相変わらず多いらしい。まあ、専門知識が無いとそれを考えるのが厳しいのは確かだから、笑いすぎるのも可哀想な気がしますが。(って、自分も元ちゃねらーですし。。最近はROMらーでさえないんですが、それはマズイかなとも思ってます)
ただ、警察の調査が入ったとか、入りそうだとかの理由でWinny関連サイトがほとんど閉鎖なのは、ちょっと情けない。「自分から自分のやってたことは犯罪ですって言っちゃてるようなもんだ」という意見がありました。


4.これって文化侵害?

2ちゃんねる菅直人西村博之氏が、「新しい文化に対しては拒絶反応しか起きない」、と嘆いておられますが、これに対して完全に同情できるのはまだ一部であって(Winny利用者は200万人。多いけど、総人口の60分の1です)、こうやって弾圧されてきた文化は、歴史上に非常に多い!
私の立場は中間ですが、CD輸入禁止問題とか、確かに文化への制約へと繋がる問題が多い。経済的事情を取るか、文化的価値を守るか、の2つの選択肢しかないような感じになっちゃいますが、実際は別の道もあるはず。
業界に関しては真面目に腹立ってるんですけど、彼らはこういう事態になることを予測できてたし、新しい枠組み、東浩紀氏が言うような「新しいタイプの著作権管理、新しいタイプの課金システム」を構築する必要性も義務もあったのに、警察権力による制約に任せっぱなしというのは許し難い。「やつらはみんな犯罪者だから、捕まえればそれで問題解決」って、そんなわけないだろう。
id:eureka-30さんの言われるように、こうなると「「人間」対「人間」の最低限の常識やルールや礼儀」の問題でもあるし、それに対する配慮があまりになくて、犯罪者にするのも、権利侵害するのもあまりに一方的すぎる。私企業が、ましてや文化を担い、一般国民を客にする企業が、そんなに権力べったりでどうするのさ。なんだか、私も殴りたくなってきました。