Slapp Happy / Casablaca Moon (1973)


これもLocus Solusで買ったんですが、普通に有名なグループ&アルバムなのでどこでも入手できると思います。
ヘンリー・カウに吸収されてしまうことは昨日書いたので、顛末はもうご承知の通りなんですが、彼らの本分はこの絶妙なポップ感にあります。この2ndにはインプロなんて一切なし。優雅で、ノスタルジックで、整った気品が溢れる美しいポップミュージックなのです。
うん、これ以上に気品のあるポップミュージックなんて皆無です。これはもう言い切っちゃて構わないと思う。とりあえず、私は知らない。
ダグマーのボーカルが素晴らしいことは言うまでもないんですけど、ヘンリー・カウやアート・ベアーズで聞ける表現力を感じさせるボーカルとは違って、ここでの彼女は、ハスキーなボーカルで温もりのある優しい歌声を聞かせてくれます。それは、他の二人、Peter BlegvadとAnthony Mooreのポップセンスのおかげなんですね。全ての曲を二人が手がけていて、まあ、実際に二人とも(特にピーターは)その後も地味ながら着実に活躍することになる優秀な人なんですが。
最近のような最悪な時期に彼らを聞いていると、なんとも幸せな気持ちになってきて、時々見せるひねくれたセンスなんかが楽しくてたまらない。涙を流したり感傷的になることもあるけど、でも、それでも夢を見ているのは大事なんだ、って思わせてくれる。優しくて、深くて、楽しくて、でも、ちょぴり切なくて・・・。本当に美しい音楽です。ポップミュージックが大好きな人で彼らを知らないって方がいたら、ぜひ聞いてみてください。CCCDなんかじゃないし(笑)、たとえ、3000円になってしまったって、絶対に損にはならないと思います。
あと、このCDの版権はいまだにヴァージンなので、CDには当時のヴァージンレコードのロゴが書かれています。裸の少女が重なったデザインのもので、これは今ではもう見られない貴重なものです。デザイン的にもとても可愛いです。(違うアルバムですが、上の画像と同じものです)
ちなみに、CDは2in1になっていて、ヘンリー・カウとの共作である『Desperate Straights』が後半に入ってます。こっちは、より実験的でアヴァンギャルドなんですが、それでもポップセンスは健在の隠れた名盤。そんな意味でも、とてもお買い得なのです。

  • Favorite Tracks 

M1: Casablanca Moon , M2: Me And Paravati , M3: Half Way There , M7: The Secret
M8: A Little Something , M11: Slow Moon's Rose
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