Duran Duran / Rio (1982)

julien2004-03-16


日本のビジュアル系バンドの原点には、私は2つの流れがあると思う。一つはヘヴィメタルで、80年代日本のインディで流行りまくっていたらしく、これは当時バンドやってた人から聞いたことなんですけど、その人はイエモンの吉井さんやX JapanYoshikiらと知り合いなわけで、彼らがそういう流れから出てきたのははっきりしてるんですね。当時のバンドたちの写真を見れば一目瞭然。初期のLuna Seaなんて完全にヘヴィメタだし、そういうのを無視しちゃいけません。
で、もう一つの原点は、これまた80年代にUKで流行りまくったニュー・ロマンティックというブームで、よく言われるアーティストが、Duran DuranCulture Club、Adam & the Ants、Japan、Spandau Ballet、kajagoogoo、Ultravoxとか、もうジャンル的にも滅茶苦茶。要するに、メイクしたりしてビジュアル的に映えまくる系のアーティストを総称して言ってるだけのジャンル。当然のように、David BowieT-Rexなどのグラムロックから影響を受けてるんだろうけど、まとまりがないんだから、ジャンルとは言えない。ポイントは、MTVが出来て、テレビの画面を通して音楽を聴くというスタイルが出来始めてきたことと大きな関係があるわけです。ルックス良い方が売れるに決まってるわけで。マドンナやプリンス、マイケル・ジャクソンのような、現在のアイドルの雛形といえる人達も、こうした流れから出てくるようだし。
で、何が言いたいかと言えば、このニューロマの人達は評価されないんです。「深い音楽性」とは無関係なもの、みたいに言われる。そう、ビジュアル系と同じです。「まともな」(と言われてる)ロック誌じゃ、彼らは扱われないじゃないですか。でも、じゃあ、ツェッペリンはどうなるんだ、と。滅茶苦茶に派手ですよ。勿論、ボウイやT-Rexも。どうも、つまらない評論家の意地みたいなものの匂いを感じてしまいます。単に、当時のリスナーの関心が音楽性に傾いているか、ルックス重視だったか、ってだけのこと。他のものと切り離された「音楽性」なんて、存在するんでしょうか。
ちなみに、さきほど挙げたアーティストのなかには、かなり評価されてる人達がかなりいます。でも、「ニューロマ」としてではなく、例えば「エレポップ」や「New Wave」としてなのです。なんなんだろう、と思う。だって当時の人が、これは「New Wave」だから良いのだ、なんて言いながら聞いていたとは思えないし、普通に「格好(・∀・)イイ!!」みたいな感覚だったと思うんですよね。

このデュランデュランのアルバムも、ポップアルバムとして抜群にいい作品だし、当時のディスコサウンドの雰囲気も伝わってきます。電子音は、テクノやエレクトロニカに慣れた私たちには確かにレトロなものに響くけど、そこがまたいいんです。チェンバロはピアノ以前の楽器だけど、ピアノと比べて「古い」とか誰も言わないでしょ。問題ないです。テクノに与えた影響は計り知れないほど大きいと思う。
(当時の)ルックスも、バック・ストリート・ボーイズ以上にいい男ばかりだし、これがアイドルじゃなくてバンドだったってことが驚き。まあ、狙ってたんでしょうけどね。
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