Serge Gainsbourg / Histoire De Melody Nelson (1971)

julien2004-03-10


フランスの天才ミュージシャン、セルジュ・ゲンスブール
シンガーとして活動を始めるのが遅かったとはいえ、彼はなかなか評価されませんでした。30をずっと越えた後にFrane Gallに提供した『夢見るシャンソン人形』がユーロヴィジョンコンテストでグランプリを取ったことをきっかけに売れっ子作曲家になっていきます。けれど、シンガーとしてはなかなか評価されない。「40になるまでにスーパースターになること」という彼の夢は消えそうでした。だが、その頃、彼の前にイギリス人の美少女Jane Birkinが突然現れる。。彼女とデュエットした「Je T'aime Moi Non Plus」のスキャンダラスなサウンドは世界中で発禁騒ぎが起こるほどの大ヒット。そして、ようやく彼は自由な創造が出来るようになったのです。スキャンダラスなイメージという足枷を付けられたまま。

ジェーンと彼は20も年が離れていましたが宿命的な恋に陥りました。そして彼のロリータ幻想は、彼女という媒体を得たことで炸裂します。それが、代表作にされることも多いこの作品。
ゲンスブール自身を思わせる中年の男は、15歳の少女メロディ・ネルソンに出会う。二人は恋に落ちるが、メロディは飛行機事故で死んでしまう。たったこれだけの滅茶苦茶な物語が、彼のつぶやくような歌い方(ヒップホップを先取りしてるようにも聞こえる)や、ギター、ベース、ドラムを中心にしながら、それにオーケストラや合唱団を合わせて生み出したクラシカル・フュージョンサウンド(こういう音は英米人には生み出せないだろう)によって、藝術にまで高められている。わずか30分にも満たないけれど、イザベル・アジャーニの言葉をそのまま借りれば、この作品は「理想的であると同時に致命的で、生きる喜びと死の恐怖が入り混じって」いて、生と死の狭間でただ愛だけを歌う」セルジュがいます。勿論、彼特有のエスプリは無視できませんが。

太陽はめったに見られない 幸せもそうさ
愛は人生の過程で方向を見失う
太陽はめったに見られない 幸せもそうさ
しかし すべてはメロディの手で動く


私個人としても、彼はDavid Bowieと並ぶアイドル。知性とセンスの欠けたミュージシャンは好きになれません。
日本でも渋谷系が流行った頃、彼らが好きだったアルバムのなかにこれがあったといいます。格好いいジャケットのジェーンもかわいい。ちなみに、彼女のお腹が少し大きく見えるのは、二人にとっての最初の子供を身篭っているからです。やがて生まれてくるその子の名前はシャルロット、すなわちCharlotte Gainsbourg
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