Queen / QueenⅡ (1974)

julien2004-03-07


ドラマの影響で大人気のクイーンですけど、彼らは前期と後期でビジュアル的にもサウンド的にも全然違ったりします。売れに売れてるベスト盤の曲目を見ると、どうにも違和感が残るんですよね。単純に言ってしまえば、「We Will Rock You」と「Bohemian Rhapsody」が一緒になってるアルバムなんてあってはならんのです。彼らはアルバムを出す度に超ド級のスタジアムバンドになっていって、そういう中で「We Will〜」や「We Are The Champion」なんていう、誰でも耳にしたことがあるようなとんでもない名曲を生んでくわけですが、初期のアルバムに必ず記載されている「誰もシンセサイザーを使っていない!」という誇りに満ちた文章が語るのは、そういうビッグバンドとは違う、極度のデリカシーと美意識に溢れたものなのです。
メンバー全員が金持ち、インテリ、美男子なわけで、ただでさえ嫉妬とやっかみを買うのに、グループ名はゲイの意味を表す「Queen」とか、かなり挑発的な自信満々の変わったバンドだったわけです。最初の頃に意識していたのが、おそらくレッド・ツェッペリンとオペラの融合であったと思われるドラマティックでナルシスティックなハードロックサウンドは、20世紀最高の名曲にも選ばれたことのある「Bohemian Rhapsody」として結晶化します。

これは昔からファンには大人気らしい2nd。レコードでは、A面がブライアン・メイ作曲のホワイトサイド、B面がフレディ・マーキュリー作曲のブラックサイドに分けられていて、神と悪魔の対決をイメージしてるそうです(笑)シングルカットされた曲は「輝ける七つの海」だけで、それだってそんなにベスト盤に収録されたりはしません。なのに、なんでこれが一番人気なのかといえば、構成、流れ、楽曲の質とも素晴らしいからで、特にB面の凄さは鳥肌ものです。シンセサイザーを使ってないとはとても思えない。要するに、コンセプトアルバム過ぎるためにシングルカット出来そうな曲がなかったっていうのが真実なのでしょう。The Darknessが好きな人は是非聞いてみてください。
ジャケットも凄いです。これをクイーン以外がやったら、確実に単なる勘違い系で終わります。
蛇足ですけど、個人的に驚いたのはこれが74年の作品だったってこと。パティ・スミスがデビューする1年前です。全然、重なっている感じしなくて、もっと前の時代のアルバムかと思ってました。作品は素晴らしいんですけど、クイーンってやっぱり大時代的な感じはしますね。
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