Courtney Love / America's Sweetheart (2004)


国内盤のジャケは矢沢あいがデザイン。これだけでも1000円余計に出す価値はあるけど、日本でいちばんコートニーを愛してる唐沢さんのライナーもいいです。ボーナストラックも最高。そして、歌詞。これを読んでると涙が出てくる。こうして適当に文章書くのが怖くなってくる。
中身は凄くストレートなロックナンバーばかり。でも、分かりやすさとかとは全然違う。コートニーの声を聞いていると、抱えてるものの大きさや、それでも生き続けるってことの意味が少しだけ分かってくる気がする。それくらい重い。こんなに重いアルバムを聞くのは久しぶり。
Holeが解散したのは2年前だけど、このアルバムまでの道のりは遥かに長い。Holeの『Live Through This』は夫のカート・コバーンやメンバーの死を踏まえて作られた作品。「それでも生きるんだ」っていうメッセージの重さは当時はよく分からなかった。でも、そうなんだ、死ぬのは簡単。誰だっていつだってできる。そこに美意識を持つのも簡単。人間なら誰だってできる。感傷的な人間はそこに酔いしれる。でも、そんなに軽いものじゃない。つまらないことを考えてるのがバカらしくなってくる。死のリアリティは「それでも生きるんだ」ってメッセージがあって初めて伝わってくるんだ。
The StrokesのJulianにあてて歌ったものもあって、タイトルが「でも、ジュリアン、私はあなたよりちょっとだけ年上なのよ」。こういう世代を超えたメッセージも凄く格好いい。繋がってるものがあって、歴史があって。人々は常に今を生きてるんだっていうか。これもラブソングなんですけどね。
それにしても不思議なアルバム。経験を積んで、悲しみも喜びを知り尽くして、それでもなんで生きるのか、なんで歌うのか、そういうことの意味が全部入ってる。ペシミスティックな歌詞を歌いながら、また愛も歌う。正直、まだ私にはこのアルバムがよく分からないです。アルバム最後の言葉は「おやすみ。あなたは変わってしまった。」
でも、国内盤は意図してそうなってるのか知りませんけど、ポジティブな曲がラストナンバー。「私はただのフラッシュ。空の明かり。さあ、私を見て。まだ争ってるの?地面に落ちた私は光り輝く栄光を囲んで腰掛けるのよ」
とりあえず分かってることは、コートニーが帰ってきて、こうして歌ってるってことだけ。うん、今はそれで充分なのかもしれない。