あくたがわへのあくたい

芥川賞って、言うまでもなく龍之介の名前から来ているんですけど、そもそも芥川って汚い川って意味ですからね。
そういう意味じゃ、今日の受賞とかそっちの意味で解釈したい。とりあえず私は。



今回受賞した綿矢りさのイメージって、小説を書くそこそこ可愛い女子高生っていうくらいで、小説自体はまだまだ大したことないと思う。青臭い、時代遅れの文学少女であって、ちょっと前に受賞した町田康みたいな、強烈さは少しもない。アンファンテリブルって言葉が似合わないフツーの少女で、たぶんアントワーヌ・サガンを連想する人は多いと思うけど、あれとも違って、悪い意味で時代に迎合できる程度に素直というか鈍感な気がする。
本人もそんなことを考えてコメントしてるみたいだし、要するに、受賞は早すぎたってことですよね。彼女自身が分かってるわけで。

いままでの最年少が、某都知事とかノーベル賞取った大江健三郎とか、まあ、十分な実力を持った天才肌だったことを考えれば、今回のは、要するにアイドルを作りたかっただけでしょ。
出版会はスターを求めているから、若くて、可愛くて、ってなれば、オジサンたちが買いそうですよね。おそらく、一時的に若い人も買うんでしょうね。でも、じゃあ、平野啓一郎はどうだったの?いまじゃ、若い人は彼の本読まないよ。
後は、「私たちの代弁者かもしれない・・」とか言いながら、期待感をこめて買う人たち。まあ、そういうことを言うのは「時代遅れの」文学少女なんですけどね。彼女らには、くだらん本読んでないで漫画読みなさい、と言ってあげたい(笑)

それに、そういう感覚で本読む人たちって、実際は大して本読んでない人ばかりじゃない?
ブックオフで、夏目漱石谷崎潤一郎を100円で買える時代に、私は1000円以上出して、そういう作家の本を読む心境が、ちょっと分からないのです。谷崎さん読んでみてよ、って言いたい。古本屋で確かに100円なんですけど、実はあんまり無いんです。よくあるのは『痴人の愛』くらいで、それほど読まれてないのでしょうか?『春琴抄』なんて、信じられないくらいに綺麗な小説で、『細雪』は自分が一番モデルにしたい文章。一文一文がとても長くて、4行くらい(笑)でも、少しも冗長に感じないのです。古文の教養がある人だから、接続助詞の使い方がとても上手で・・。



話は戻ります。出版会の実態は知っていたし、綿矢りさには、絶対、芥川賞取らせるだろうなぁとは思っていましたが、『蹴りたい背中』が半端だったので、まあ3年後くらいかなとか思ってたら、あっさりと決まってしまいました。
彼女は17歳で文藝賞取って話題になったんですけど、河出書房新社D[di:]というとんでもない人にも評価を与えていて、個人的にはありえないと思った。彼女の作品を読んで、まともに評価できる感覚は私には理解できない。みんな表面的な部分での彼女の過激さや、冷徹に眺められる視点とかを認めているようですが、私にはゲイとか知的障害の人への凄まじい差別主義者にしか思えませんでした。私はゲイでもないし、知的障害があるわけでもないし、作品のなかに出てくるキぐるみを着なきゃならないようなブサイクでもないけど、とにかく「あとがき」は酷すぎるよ。
「私の周りにはこういう人がたくさんいて、それが普通だった。あの時の違和感が忘れられない」とかいうようなことが書いてあって、これのどこが鋭いのか、私には全然分からない。感性が豊かなことが、人を傷つけるなんて考えたくない。何か痛みに気付いたところで、それに対して冷酷になれることなんて、素晴らしいことでもなんでもない。平均以上に恵まれた人間は、そういうことを言っちゃいけないだろうと普通に思う。子供みたいな意見だけど、こういう問題は複雑に考える必要ないことだよ、絶対に。
私には友達や知り合いにいるんです。ゲイの人も、知的障害の人も。だから、読んでいるのが身に染みるように痛かった。
そして、これを評価できるような人達には、そういう友達がいないんだと思う。一般的な価値尺度だけで人を測ってても、何も問題がない人達なんだろうと思う。
そういや、何を勘違いしてるのか知らないけれど、彼女はモデルや歌手を掛け持ちしていて(笑)、まあ、それなりのルックスを持っているし、漫画と小説の融合っていう方法が斬新なので、アイドル作家としての素質は十分なわけですけど、売れれば差別的な内容でもいいのか、と聞きたいよ。ここでもダブル・スタンダード



そういえば、もう一人受賞したんですよね。名前は忘れましたが(笑)
引き篭もりを売りにするあたりが、これまた若い層やら、そういう若者に関心のある中高年あたりをターゲットにしたい意図が見え見え。でもね、受賞作は酷いですよ。実は読んだことないんですけど(笑)、ピアッシングがテーマみたいで、でも、彼女が言ってることって、鷲田清一が言ってることの完全なパクリ。ちーとも若い人の感覚を感じられないのです。
「穴を開けることで自分を探していく物語」
こういう前書きを読んだだけで、私には陳腐なものにしか感じられません。もっと凄い奴等はたくさんいるのに、なんでこういうのばかりチヤホヤされるんでせうね。あーあ。


もっと褒めたいのに、褒めれる点が、内容じゃなくて見た目じゃあねぇ。とりあえず、画像にしとくので、それで許してください。
まあ、平野や辻程度のルックスで、いいとか言われるんだから、私がちゃんと小説書いて、写真付きで応募すれば、彼ら以上のスター作家になれるのかな?(笑)
って、今のは冗談ですけど、こういう妄想系はどんどん増えるでしょうね。絓秀実が、村上龍の受賞の結果として「私でも作家になれるという勘違い」が広まったって言うのとは、遥かに低い次元で。