Novel

サガン『悲しみよ こんにちは』

イメージの恐さってあると思う。サガンで最初に読んだこの本。それと同時にセンセショーナルなデビューを飾った話、当時の彼女の写真を見た。 何もないアパルトマンの一室、床の上に置かれたタイプライター、ショートカットの美少女。ジーン・セバーグ主演の…

M・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』

これはもう一つの『ゴドーを待ちながら』。繰り返される沈黙。時の隙間が世界を支配する。 それにしてもデュラスの小説は、どのように書かれてるんだろうか。小説技法が駆使されすぎて、創造のプロセスがまるで見えない。 だれか素晴らしい映像センスを持っ…

M・デュラス『モデラート・カンタービレ』

デュラスの『モデラート・カンタービレ』の、息の詰まりそうな閉塞感が好き。一人の女の死から始まる物語。言葉と言葉の張り詰めた空気や漂う倦怠感。死と性。想像と現実の乖離。階級。海辺の匂いとマグノリアの白、窓の外の風景。外れたピアノの音。ゆっく…