風にのせるもの

julien2008-02-21

0002 はっぴいえんど ”風をあつめて” (1971)

はっぴいえんどは難しいと思う。しっかり聞いている時はしっかりと聞こえ、なんとなく聞いているとなんとなく聞こえ、適当に聞いていると適当に、ちゃんと聞いているとちゃんと。
最近も発泡酒(?)のCMでこの曲を聞いたし、数年前はソフィア・コッポラの『Lost In Translation』のEDテロップで流れていた。どこかほっとするんだろうか。
しかし、この曲のシュールな歌詞は探しているのだ、幻の町「風街」を。蒼空をかけるため。安心なんかしてない。だから、ソフィアはあのEDにこれを持ってきたのだ、失われたもの、記憶をかすめ、見える幻、追いかけては消えてしまう。
ちまたで言われる日本語ロックというよりはフォークの亜種のようであり、しかし、この人達を日本のロックの源流に置く人たちが大勢いるのだと。
まあ、正しくは「日本語ロックの」であって、「日本のロックの」ではない。しかし、これをロックだと受け止めた当時の音楽感を僕は知りたい。松本隆さんは自分らの状況について意識的だったはずで、英語とは異なるリズムの日本語に合わせたロックを模索する、それは失われたものを取り戻す為に、新しいものを作り出そうとする、とても不思議な試み。
英語はかっこいいし響きもいい、あの頃の人達は、ラジオやレコードのなかの音に胸を躍らせたんだろう、でも、だれも英語なんか話してなかった。瓦屋根の下で日本語を話しながら探していた、見つけるための道具、楽器、声、そして言葉。