歌うように

あらばすたさんのお勧めで、『のだめカンタービレ』を買ってみた。
略称中心に専門用語が、ばかばか飛び交うのが面白い。さすが舞台が音大なだけはある。
私は、ここではポップスやロックの話ばっかしてますが、小中時代はクラシックしか聞いてません。そして、高3の頃がピークで年に50枚はクラシックを買って、コンサにも足を運び、レコ芸と音友を毎月買って読んでました。学校サボってMDでラフマニノフ聞いてました。単に好きだったので。

ただし、私は非常に曲がった聞き方でクラシックを聴くので、立派でもなんでもない。
あの、建造物のように構築されていながら、溢れるほどに弱い部分が見える辺りが好きなのかもしれない。作曲家ってダメ人間多いし。ただ、あの整合美がいいんです。だから、ダメかつ弱弱しいのは論外。
あと、つまらない演奏は大嫌いです。トスカニーニくらい突き詰めれば究極的に良いですけど、アバドとか本当にダメでした。いちばん好きな指揮者は、ベンジャミン・ブリテンです。作曲家の間違いじゃないの?とか詳しい人に突っ込まれようが、そんなの知らない(石井宏さんの影響が大きいのかもしれない)。彼のは最高のモーツアルトカーゾンと競演したピアノコン20番とか、ため息が出ます。


で、のだめはストーリーの展開とかそれだけじゃなくて、他の部分でも凄く良くできてると思う。なんだろう、マニエラの支配しがちな部分も本当はもっと自由な空気があって、そこに様式化されない感情が拡がっているような、あの感じ。私がクラシック好きなのはこういう部分があるからで、そんな部分が凄く良く描かれてる。
あ、これで(カビ臭い)雰囲気が少しでも変わるといいな、とか思ったりする。
クラシックって、100年前はポップミュージックですよ。社会制度があれだったから、階級的なだけでさ。モーツアルト魔笛なんて、そのまんまじゃん。「素晴らしいですね」なんて言うより、もっと自由に楽しめるものだと思う。


あまり関係ないけど、あえてマニエラの意味を考えたりした。自由詩より定型詩のほうが実はよかったりするのと似ている。詩は歌、ってことか。
歌うように、カンタービレ、本当にいい言葉。個人的な棘になってるデュラスの『モデラート・カンタービレ』のことは忘れよう。