The Alan Parsons Project / Best Of The 〜 (1977-83)


Styles : Soft Rock , Prog-Rock/Art Rock , Album Rock
最初はAORかな、と思いましたが、スティーリー・ダン辺りにも通じそうなソフト・ロックと言った方がよいのかも。そもそもアランはスタジオ・ミュージシャンだし(ビートルズの録音とかもしてたそうです)、プロデューサー。ベストではなくアルバムを聞けば、タイトルといいジャケといい、SFのイメージを使ってるんですが、音だけではそれほど感じない。ある意味、ベスト盤の欠点が見事に露呈してしまったというべきか。ただ、ミステリアスで静謐な雰囲気は曲からも感じる。
この人たちの黄金期がそのままこのベスト盤収録曲の時期と重なるんですが、この頃ってテクノやエレ・ポップが人気を伸ばす前夜で、Hi-NRGブームのディスコも電子音をどんどん取り入れていく時期でもあるのに、意外とこういう音はその後見かけない。
電子音とソフト・ロックAORの融合。ロックが「ロック」として色んなジャンルを取り込みながら、洗練されていった結晶でしょうが、ロックが洗練を放棄して、身体的なものへと回帰した以上は、用無しになったのかもしれません。「大人」の音を好む人はジャズとかに流れていったのかもしれない。結局はそれほど「踊れない」AORの宿命でしょうか。
でも、私は年のせいか、こういう雰囲気に最近はやけに弱くなった気がする。うーん、でもスティーリー・ダンは昔から好きだし関係ないかも。
とりあえず、大ヒット曲にしてメロウでセンシティブな名曲"Eye In The Sky"は絶品。他もひたすら名曲の嵐。職人芸の素晴らしさ。これは前衛陶芸家みたいなものかもしれない。相棒あたりに聞いてもらえば、意外と喜ぶかも。