中島 美嘉 / Music (2005)

julien2005-05-27


Styles : J-Pop , Vocal
この人は結構不自由なんだろうけど、それを逆に楽しんでるんだろうなと思う。
どうしてもアイドル的な部分を期待されるから、ポップなことは当然として、シングル中心で活動するしかないんでしょう。そんなわけで曲調は結構多様になる。"桜色舞うころ"と"Seven"が同じアーティストだっていうのは、普通じゃありえない。
ただ、彼女の個性というか良いところを裏方さんたちがしっかり理解してるとこが浜崎辺りとは違うところで、誰々のカリスマとかそんな重荷を背負わされることなく、しっかり自分の武器を自覚してる。それは声です。前作の"Love Addict"で私自身驚いたんですが、これだけジャジーな歌を聞かせられる人はそうはいない。つまり「カラオケ」では聞きたくないアーティスト、ナンバーワンですね。"Seven"や"Fake"は本当にいい。カラオケで歌われるための曲じゃなく、彼女に歌われるためだけに生まれた曲。それでいて、つまらない大人っぽさを感じさせない。
彼女は、自分がやりたいことだけで歌うのじゃなく、周りの人たちと一緒になって時代の空気のなかで曲を生み出しているんでしょう。不自由は悪いことばかりじゃないし、すべて自分の思い通りにならないのを「不自由」とか思う必要もないというわけで。
私は、リアルタイムな音楽を聴くときには、自然に今の空気を感じようとするんですが(いま感じないとすぐに失われしまう感覚だから)、彼女の歌にも色々感じるものは多いです。実際は、ここで言葉にするものとは別なんですが、それを言ってると何も書けない。まあ、こんな文章なんか書かなくてもいいんでしょうけど、書かないと自分にも見えないものがあるし、さらに、それが別の形になっていかない。瞬時にすべてを感じて、理解できたらなんていいでしょうね。
ところで今作は、昔の作品ほどポップで派手な曲がない("Will"とか"雪の華"のような)ので、少し地味に感じるけど、聞けば聞くほど凄まじい"Legend"(オフィシャルに曰く「J−POPファンのド肝を抜くハイブリッド・ポップ・スタンダード」笑)を中心に、まったく別の顔が見えました。シングル聞いていればある程度分かることですが、アルバムを通すとまた違いますね。
ただ、ジャケットはいまいち。エレクトロな雰囲気は表現できてていいんですが、背景の色かなあ。"桜色"と発売時期に引きずられたのかな。