The Love Affair / Superhits


Style : Mod , Freakbeat , Blue-Eyed Soul
遅れてきたモッズバンドのベスト。10曲しか入っていませんがポイントは安さです。新譜で1000円。素晴らしいですね。
ところでスモール・フェイセスともども面白いなあと思うのは、初期のモッズ(ミュージシャンじゃなくて一般のモッズ)に愛されたバンドってちっとも”モッズ”じゃないってことです。例えばストーンズ、ダウンライナーズ・セクトプリティ・シングスキンクス、アニマルズと言った人たちは精神的な意味ではモッズじゃないですね。キンクスのモッズ嫌いは有名だし。
で、この影響で面白いと思うのが、この人たちってバリバリのビートバンドでして、当時にモッズがたむろしてたフラミンゴ・クラブなんかで演奏されてたのってモータウンなんかのR&Bなんです。だから、当時のイメージ通りのモッズはジョージー・フェイムのアルバムを聞けば分かるような感じでして、けしてビートではない。でも、そういう音をやってた人たち(アクションとかマンフレッド・マン)はあまり売れなくて、売れまくっていたのは前述のビート・バンドなんです。
そんなモッズ・ブームのなかから出てくるのが、まさしくモッズであったスモール・フェイセスやスペンサー・デイヴィス・グループやこのラブ・アフェアで、なぜかビートよりもソウル色が強い。何より歌が恐ろしく巧い。それぞれのボーカルであるスティーヴ・マリオット(大好き)、スティーヴ・ウィンウッド(超好き)、スティーヴ・エリス(格好良すぎ)の3スティーヴの歌唱は素晴らしい。で、ソウル色では69年なんて終焉期に出てきたラブ・アフェアなんか特に典型的。あ、ちなみに、フーは最強の便乗組と言われています。
これはロックン・ロールなブルー・アイド・ソウル。カバー曲ですがM1"Everlasting Love"は永遠の名曲(先日、誰かのカバーをファミマで聞きました)。他にもジョー・サウス作曲の超名曲"Hush"(車のCMで最近も流れてましたが)のカバーなんかもあります。
それにしても、なぜかこのソウルフルな感覚は一部のアーティスト(一連のシンガー・ソング・ライターやデヴィッド・ボウイロバート・パーマー、シンプリ・レッド、ポール・ウェラー、ドクター・ロバートあたり)を除けば、完全に亜流になってしまって、ソウル・ボーカリストはロックにはそんなにいなくなってしまう。この辺に70年代を境目にした黒と白の分断があるように思うんですね。なぜだろう。私が思うのは、結局、そういう音楽が街中に自然と流れるものではなくなった気がします。憧れの対象じゃなくなったのかな、と。
でも、ソウルはブルーズと並んで音楽を最高に素晴らしいものにしてくれたものだと思う。衝動=ビートはロックンロールの命だけど、この感覚がなければ、何か物足りない。そして、こういうものは自然に感じるものだけに、簡単には真似できないんですよね。だからダスティ・スプリングフィールドなんて最高にロックだと思うのに、そうは思われないのかな。