The High Llamas / Gideon Gaye (1994)


Styles : Chamber Pop , Indie Pop , Indie Electronic , Alternative Pop/ Rock
ハイ・ラマズの、という枠を軽く超えて90年代ポップ・ロックを代表するほど有名なアルバムですが、どうしてもこのバロック・ポップの雰囲気が、感覚を60年代につなげてしまうので(ミレニアムとかレフト・バンク、そしてビーチ・ボーイズ!)、他の94年のアルバム、例えばBlurの『Park Life』だとか、Green Dayの『Dookie』、Holeの『Live Through This』とかと並べても、なんとも奇妙な感じ。いちばん近いのが、Tortoiseの2ndのように思えた。そういえば、彼らの後継者に違いないスリルズの1st(2002)にもそんな印象を受けたのを思い出します。
音やジャケットのフォントを考えれば、本人たちがビーチ・ボーイズヴァン・ダイク・パークスを意識していたのは明白ですが、それでもじっと聞いているとやはり夢見る少年じゃないよね、と思える。美しいけれどどこかシリアスなジャケット、太陽でいっぱいなカリフォルニアなんかじゃない、ありふれた都市と人々の風景。
それでも、デス・キャブ・フォー・キューティーとはまた違ったエレクトロな音の使い方なんかを聞いてると、それでもこうした音の居場所が見えてくるようにも感じる。環境の変化だけで、リズムや感覚までも変わってたまるか、って思う。60年代がとっくの昔に過ぎ去って、ブライアン・ウィルソンが『Smile』を完成させて(嬉しい反面、何かが終わった感じがした)、世界がテロや無関心で溢れたって、この感覚は死んでない、と思うのです。このアルバムを聞いてる時は、いつだって自然に笑ってるし。
そして個人的には、こういう音楽を探しながら旅をしてるんです。