待合室にて

julien2005-01-25

「では、次の方どうぞ」
ここは待合室なのかしら。次の方って、私の他になんて誰もいないじゃない。
え、でも、あれ、私の名前ってなんだったっけ。
名札は狂気?気取るのもいい加減にすれば?


え、でも、ちょっと待って。やっぱりどこかで開き直りが必要なのかもしれない。
光があるようで、でも真っ暗で見えない、何も見えない。後で、すぐ後で物理的に照らされているだけじゃない。
電源切ればすべて消える。
廊下には文字が無数に並ぶ。でも、消して、消して。まるで黒板のよう。
壁には、今は亡き花々の遺影。綺麗に並べられて、でも何もかも観念のようで手に取ることもできない。
なんだか、こうやって当たり前のように触れ合えることが不思議。なんとなく慣れて、それは、まるでここの延長のよう。
インターフェースは終始にこやか。でも、私のどこに触れているの?あなたって油ぎった男のようね。


この部屋は誰かの部屋、隣にもまた誰か。病室、病室がどこまでも続く、この長い廊下の先。
こんなに恐いところでは、もっと感じなければ何もできないはずなのに。
お怒りのよう。でも、悲しみでもあるよう。戸惑いばかりで、声も聞こえない。
誰にだって顔は、あるよね?

診察室はどこでしょう?