透明

同じように雨が降る日のこと。
やはり花は、眺めてるだけのほうがいいのかもしれない。
部屋に飾るのでもなければ、アーチになって門を飾るのでもない。私は立っている場所を錯覚した。
きがつけば、蜜蜂が去って悲しむ姿は、美しくもなければ可憐でもなかった。通りの反対側の私は言葉を失ったままで、返ってくる言葉は、その距離を絶対にしてしまうだけだ。

私は視力の絶対化に対して、自分自身を殺したくなる。
霧が薄れると、なんて日常は埃にまみれているんだろう。当然のように、空気は目に見えたりしない。感覚を支えるのは、やはり距離への意識。


永続するものなんて自分の感情に求めるものではなかった。急速に熱が引いていく。世界はなんて透明・・・