霧が凄すぎて何も見えない。足音くらいは聞ければいいものだが。
でも、そんなに心配する必要はないのかもしれない。
ほどほどに笑っているのだろうし、必要ないのはおそらく俺のほうだ。
俺とは逆に霧は無いけれど、足音が煩くて仕方がないっていう人だっているだろうし。
着信音で悩まされるよりは、悩ませているほうがいいってことかもしれない。


機械の稼働は止まらないのだろう。考えるよりも動いているほうがいいってことだ。
鼓動と同じリズム。激しくたって、限界を超えれば眠り出す。逃げればいいってことか。すべて忘れ去るくらいに耽溺するのも悪いことじゃない。極限後に虚しいってことも悪いことじゃない。どっちにしろ、俺には関係ない。
そういえば、破られて流れる血だってあっただろう。しかし、それは俺には関係ないことだ。破綻は避けられないって?いや、破綻じゃない。誕生かもしれない。赤ん坊って、最初に泣いている時、どんな気持ちなんだろう。回帰は無理です。秒針はいつだって止まらない。


色々考えるとすっきりするけれど、やはり見えないのは寂しい。声さえ聞こえないから、ますます寂しい。
手元にあるのは文章だけ。でも、それだって嘘ばかり。10行目で自分のことでもあるって気付いたが、ほとんどなんの意味もない。これは俺の問題じゃないし。
助けてくれって言われても、そんなの知らないよ。喪失感なんてないけれど、子供たちの相手をするのは疲れた。