今日は、なんとも不思議な気持ちになった。
あの瞬間のために、今までの時間が一気に集約された感じがする。
今まで手にしてきたものを、何のために繋げればいいのかが分かった。
けれど、ますます人と離れて一人で歩いているような感じが強くする。
最近、我侭なのはそのせいだ。正気でいると、距離感がどうしようもないくらい強くなる。
様々な関係性が浮かび上がる。

・・・・

欲しがるものしか手にしない人は多い。世界はなんて狭いのだと思った。勿論、それは私のじゃない。
何を求めるかですべてが決まってしまうように思う。けれど、この海では欲望さえも自由じゃない。セイレーンの入り江ばかりだ。
難破する船のなんて多いこと。しかし、俺の耳は聞こえないし、少しばかりの理性はある。漂流だって望むところだ。野性は爆発する機会を残している。
満たされないことはけして不幸じゃない。満たされることのない私の飢えが、私には何よりも支えになる。
結局はそうだ。学んで得たことはそこへと繋がる。万学を知りえたファウストは、満たされない自分を見つけたものだ。
適度に幸せでいることは簡単。そして笑う余裕さえあれば、立ち止まることはない。

・・・・

どこかにいる誰かは、きっと私だけじゃなく、世界さえ変えてしまうに違いない。
邪魔するものが多すぎて、私は多数に愛されることは絶対にない。しかし、一人の信頼を得ることはできるはずだ。共有できる飢えを持つその人のために、私は得たものすべてを捧げよう。私に王冠は要らない。

・・・・

混沌にあるからといって、すべてを意思と表象で分類する方法が消えることはない。
重要なのは、意思を判断することが画一化されないこと。ルールの専門家は不自由だ。だから、道具として使うことを意識しなければならぬ。
とりあえず世界を貫く原理くらいはいくら多くても困ることは無い。一つ残らず掴んでやれ。人が重力や軋轢から不自由なわけはないだろう。