追悼 ジャック・デリダ

ジャック・デリダが亡くなりました。
けして思想が専門ではない私にも、「脱構築」という言葉とその意味がもたらす魅惑にはあがらうことができませんでした。
構造主義以降を示すものとして、一つのキーワードとさえなったポスト構造主義も、この語り部の死去を機に、いよいよ一時代を示すものに変わりつつあるのかもしれません。
しかし、単なる批判に堕すことのない新たな思索の試みは、世界のあちこちから芽生えていることに間違いはありません。

願わくば、自分もまたそうした流れのなかで、時にその流れに逆らいながらも、考えることを続けようと思います。
彼の思索を知るものとして、同じ時代の空気を吸った彼の子供の一人として、私はそんな想いを与えてくれる、人種や国境、年齢の壁を越えて、思索を共有させるこの世界に感謝いたします。
長い間、お疲れ様でした。私はあなたのことをけして忘れることはありません。あなたの思索の煌きを少しでも理解して、それを無にしない努力を世界の片隅で続けていきます。
ご冥福を心よりお祈りいたします。