The Modern Lovers / The Modern Lovers (1976)


昨日も少し触れたモダン・ラヴァーズ。76年発売なので、どこがロキシーと同時期なんだ、もろにNYパンクじゃないのとか言われそうですが、音源の実際の録音時期は72年ごろなので、完全に同時期なのです。

それにしてもこの音。これはNYパンクです。いかにパティ・スミスなどに影響を与えていたかがはっきりと分かる。ドアーズやヴェルヴェッツの影響を強く持ったアンダーグラウンドでありながら、時代の先を明確に射抜く乾いた音。
しかし、よく言われるように、ヴェルヴェッツになりたかった子供であり、早く生まれすぎたパンクロッカーと区切るのは、ちょっとありきたりなので、少し違った角度から見てみます。
さっきドアーズからの影響を感じるって書いたのは、要するにヴェルヴェッツもドアーズも、音の傾向は違っていても、どちらも極めてサイケデリックなバンドってことで共通してるから。
ジョナサン・リッチマンがロッカーになったのは、ボストンにやってきた一つのバンドに出会ってから。その名はヴェルヴェット・アンダーグラウンド
けれど僕は、モダン・ラヴァーズをこのヴェルヴェッツ〜NYパンクの系譜から少し外してみたいんです。
それは昨日のロキシーのこととも関係あるんですが、パンクを原点回帰の革命のように考えたくないってことでもあるんです。NYパンクでも、例えばリチャード・ヘルラモーンズなら完全にパンクのイメージに一致したりしますが、他のパティ・スミステレヴィジョン、トーキング・ヘッズなどは、俗に言うパンクとは一線を画する部分がありますよね。
それなのに、なぜ彼らがロンドンに飛び火するような衝撃力を持ちえたのか、なぜ同じようにパンクと呼ばれるのか、それはパンクにはサイケデリックな部分が根本にあったからだと思うんですよ。どんどん見えなくなっていくものですが、これはニューウェイブ期のネオ・サイケになって、再び表面化するものです。
思想的な面で言えば、パティ・スミスはドアーズのジム・モリスンを崇拝していますが、それはサイケデリックな感覚や詩世界が、パンクに潜在的に働きかけた部分があるからです。こうして、音が時間的に繋がっていく。
だから、それを鮮やかに体現したバンドこそがモダン・ラヴァーズであり、彼らは時代の殉教者などでも早く生まれすぎたパンクスなどでもない。そして、これはパンクが単なる原点回帰などではないことの証明だとも思うんです。

それにしても、なんでモダン・ラヴァーズって、扱いも知名度もこんなに低いんだろう。。ガイド本から漏れてることもしばしば。廃盤にならないといいんですが。

"Rordrunner"
真夜中でも寂しくないから 真夜中でも孤独じゃないから
一人、車で飛ばすのも悪くない
寂しくなんてないさ カーラジオがあれば
・・・
ロードランナー ロードランナー 大好きさ、ロックンロ−ル
オールナイトでぶっ飛ばす そうさ ロードランナー

I'm in love with Rock'n Roll,and i'll be out all night
ってところが凄く好き。