Alice Childress

Ben Folds Fiveの曲から
このタイトルは子供じゃなくなったアリス、ってことでしょうか。
(もしかしたらこの解釈は間違えてるのかもしれない。ressなのかlessなのか。)
よく「子供の部分がまだ残っている」なんて言いますよね。それは大概良い意味であって、だから「子供っぽい」という言い方とは区別されているように思います。
夢見る心とか、純粋にはしゃげることとか、そんなことなのかな。でも、難しいですよね。本当なのかな、と思う。意識して出来ることでは、けしてないと思います。


失われていくのが目に見えることっていいですね。沈んでいく夕日、風に散る落ち葉とか。
それを感傷として受け入れる余裕がある。だから、詩人はそれにふれて歌を生み出すのでしょう。


そんなことを考えている間にも少しづつ遠くなっていく。
もちろん失う数だけ、色々なものを手にしているとは思う。でも、失われるものと手に入れるものは対価ではないと思う。
昔欲しかったものと、いま欲しいものは違っているから、比べることはできない。だからこそ、何も意識できないんでしょうね。
もし人の生きることが、ギリシアの哲学者が言うような流れる川のようなものならば、もっと僕は楽に考えられるんだろう。
それはとてもシンプルな風景で、僕は座って諦観すればいい。「これが人生だ」って呟きながら。
でも、目に見える風景はとても様々で、頬をなでていく風もただ流れていくわけじゃない。

一期一会も無常も、どこか透徹して突き抜けた境地にでもいないと分からない気がする。そのような感じはどれも整いすぎていて、僕には残酷なものに感じる。それと比べて、現代哲学の混沌を見ればいい。だから、ここを突き抜けていく人は、どこか偉大な宗教家のような感覚を持っているんでしょう。


たった一人になりたいなどと思わない。寂しいからじゃない。そんなものが偽りに思えてならないから。
今怖いのは、こうした一瞬の考えが、まるで気の迷いのように、明日になれば忘れてしまうこと。
そんな風に、もう目に見えないことに鈍感になってしまった僕は、アリスのように驚いたりはできないんだろうな。