ドッペルゲンガー

先日から、自分のなかで何かが引き裂かれているような感覚がずっと続いている。
でも、それは引き裂かれたカーテンのせいなのかもしれない。外の世界と部屋の狭間に引かれたカーテン。

計算して論理的に考えるのも行動するのも好きだ。ずっと眠っていた感覚だけれども、そういう部分が自分のなかに強くあるのは今に始まったことじゃない。
曲がり角で、反対側から来た人にぶつかる。でも、それは自分だった。そんな風にドッペルゲンガーにはよく会う。
鏡を前にしていると、よく不思議な感じがした。目の前にいるのが誰だか分からなくなる。でも、すごく見慣れたものだ。昔から一緒にいた人だ。霧が晴れると、そこは見慣れた場所だったような、そういう感じなのだ。

誰かに意識をのっとられそうになるとか、そういう話ではない。
ただ、座ったまま動けなくなっている人を見るのが嫌なんだ。それが自分にそっくりな顔をしているのなら尚更。
置いてきたものはたくさんあるの?それは捨ててかなきゃいけないものなの?

僕は強くなりたいわけじゃない。でも、ああいう笑顔を作ってあげるには、少しは無理をしなきゃならないんだ。でも、君を置いていく必要はないんだよ。
僕はカーテンを開けて、君はカーテンを閉じる。