Stravinsky / The Firebird (1911)


聞いたこと有る無しは問わず,名前くらいは誰でも知ってそうなストラヴィンスキー畢生の名作。

五人組以降のロシア国民音楽の素晴らしさは、やはり管弦楽の音色に尽きます。ムソルグフスキーなんかも熱くていいんですが、やっぱりリムスキー・コルサコフ。そして、直系のストラヴィンスキー。音の色彩で描かれた一枚の絵です。
物凄く長生きしたので、20世紀の音楽的変容を自身の作品にも色々と引用しています。カットアップやサンプリングに近いことまでやってるような気がする。ただ、初期の作品はロシアの伝統を色濃く反映したものばかりですね。『火の鳥』もそう。
弱冠28歳の時の作品ですが、天才バレリーナのディアギレフが彼のインスピレーションからここまでの音を引き出したんでしょう。ドラえもんがいたら、迷わず1910年代のパリに連れて行ってもらいますね。ラフマニノフと並んで、ロマン主義が辿り着いた世界。知的で美しくそして情感的。印象派にも通じる感覚ですね。

僕が持ってるのは、ピエール・ブーレーズが1975年にBBC管を振ったもの。ちなみに「組曲」ではなく「原典版」です。こういう緻密な計算が巧く反映される曲にはブーレーズは強いですね。勿論それを支える感性あってのものですが。