永久革命論 〜ロックンロール・リヴァイバルによせて

ストロークスのデビューが2001年。本棚をゴソゴソしてたら、ちょうどその年の注目アルバムがまとめて紹介されたタワレコのフリーペーパーが出てきました。当然にロックのところを眺めるのですが、うーん、今となっては信じられないくらいにストロークスが浮いて見える。なんていうか、要注目の新人が少ないのです。
この前後はエレクトロニカとか、そんなのばっかり聞いてましたよ、そういえば。オウテカマウス・オン・マーズPrefuse73とか。
とにかく目に付くのは、バブルガム・パンク(ブリンクとか)であり、ラップ・メタルであり(リンキンはこの年にデビュー)、エモ(スターセイラーとか)であり、保守中道のハードロック(いっぱい。ただし、スリップノットは除く)なんです。あとはベテランが好調に活動を持続(フガジ、モグワイ、マーキュリー・レブ、エアロあたりね)。で、そんな中で、やたらと存在感抜群なのがマニックスの『Know Your Enemy』。
Travisなんかに代表される歌謡ロックをUKで主流にしたのは、僕はマニックスだと思うんですよね。リッチー失踪後の2作品なんて、マニックスの叙情性が炸裂したものだし、あれをもっとソフィスティケート(というか軟弱化?)したのが王道的歌謡ロックだと思うんで。この辺ははっきりと覚えてますが、『Know Your Enemy』を初めて聞いた時は、何事が起きたのかと思いましたからね。はっきり言ってガレージ・パンク。原点どころか、もっと凄いとこまで行っちゃったよ、とか驚愕でした。そう考えてみると、マニックスはリヴァイバルの革命前夜に早々とそれを予知してたような行動に出ていたことになります。
で、そのちょっと後にジョンスペが出した『Plastic Fang』。これまたビックリの王道ロックで、雑誌が騒いでたのを覚えてます。今じゃ、ロックバンドが「ロックンロール」をやるのは当たり前になってますけど、3年前はみんな驚いてたんですよ。
おそるべし、マニックス&ジョンスペ。リヴァイバルを予知してたのか?
ただ、さっき並べた目に付く系統のバンドは、今でもしっかり生きてますよね。歌謡系も新人出たりでしっかり売れてるし、この革命はどこへ向かうんだ?ロベスピエールみたいなのが出てきて、徹底的に大改造しないと、結局は反動グループに潰されてしまうのかしら。フランスがバスティーユ監獄を襲撃して第一共和制を始めてから、市民革命的な社会が定着するまで半世紀かかってますからね。ウィーン体制みたいなのを挟んでさ。
トロツキーじゃないけど、革命は永遠に終わらない。ここで終わると、また暗黒の叙情社会になっちまう。ストロークスがナポレオンみたいにならないことを真剣に祈る日々。
とりあえず、歴史上起こった革命の顛末を考えると、いろいろ見えてきて興味深いです。マルクスじゃないけど、歴史は繰り返しますから。