Cocteau Twins / Treasure (1984)

julien2004-04-30


幻想的としか表現しようがないコクトーツインズ。美しいという形容詞がもっともふさわしく、ロックという言葉がもっとも似合わないグループ。
コクトージャン・コクトーのことだと思うんですが、グループ名の詳細は不明。
「天使の声」と言われ、フォロワーを数多く産み出したElizabeth Fraserのボーカルを中心に、官能と理性の狭間を通過していくような、天上界から下りてくる驚異的なサウンドで、いまだに唯一無比な存在感を持っていると感じます。シューゲイザーの原点として、The Jesus and Mary Chain、House of Loveと並んで名前が出されるグループですが、陰鬱な感じはまるでしないし、高貴な雰囲気のこの音を、無理矢理にサイケデリックと例えるのはおかしな話だと思う。
Bauhausが引っ張り、後にPixiesやPale SaintsやLushにまで至る4ADレ−ベルの中核を担ったグループとしても重要ですが、個性という意味ではこのアルバムの頃がベスト。曲のタイトルが全部ギリシア神話の登場人物になってることからも、コンセプトアルバムとしての体裁もなしています。
New Waveはゴミだ」みたいな発言を時々見るんですが、んじゃ、あなたはNew Waveをどれくらい聴いたの?と問い詰めたい。コクトー・ツインズも確かに前衛的といっていいくらいに独自な音楽をやってますが、メロディアスでポップさも兼ね備え、さらに楽曲としての完成度も芸術的といっていいくらいで、これを前にして文句なんて言えるわけない。最近、New Waveの名盤のリマスター再発が相次いでいますが、コクトーはかなり前から再評価されていました(私もその頃に買った)。要するに、当時New Waveに取りつかれていた人たちがレコード会社の中心的世代になったってことなのでしょうが、こういうサウンドを忘れるべきではないでしょう。New Waveって、新しい音楽を作るためのヒントの宝庫だと思うんですが。

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M1: Ivo , M2: Lorelei , M5: Pandora , M6: Amelia
ASIN:B00006L5PQ