Blur / Parklife (1994)


90年代に入ってからのUKの音楽の歴史を言うと、まずは昨日書いた「マンチェスター」があって、これが猫も杓子もダンスさせるに至ることは昨日も書きましたが、これは60年代の幸せな時代の回想だったんですね。でも、そういう夢はすぐに覚めるのが現実。ただ、夢をいつまでも続けたいっていうのが本音だから、その後にフィードバックノイズを駆使したシューゲイザーが時代の徒花のように咲き誇ったわけです。そこに乗り込んできたのがNirvanaを中心としたアメリカのグランジブーム。もう、かつてのビートルズの逆のごとくUK音楽シーンはUS勢に征服され、空白の時代が訪れたのでした。
そして、この時代を終わらせたのがOasisBlurを代表とするブリット・ポップで、ここからブリット・ポップvsグランジなる構図が出来上がったりします。まあ、実はこれ、使ってるドラッグがコカインかマリファナかの違いもあったらしく、そう言われればそんな感じはしますね。グランジのあの起伏の激しさはコカインを思わせるし、ブリット・ポップの明るさの背後にもマリファナの匂いがする。。。
ブリット・ポップは、ビートルズキンクスといった、60年代ロックのリヴァイバルのように言われていました。でも、それもまた夢でしかなかったことが、はっきりしてきます。オアシスのハードロック化とその後の失速、ブラーの迷いなんかを見て、ますます現在が分からなくなった記憶があります。
これだけは断言できますが、現在のロックンロールは過去の焼き直しです。素晴らしいグループはたくさんいるけれど、夢の共有は不可能なんだと思う。サマフェスに行ったことのある人なら、終わった後の虚しさを経験したことあると思うし、あれは単なる疲労感なんかじゃなくて、ある場所にしか共有できるものがないってことを思い知らされるからなんだと思う。
って、別にペシミスティックになってる気もないんです。自分が立ってる場所と、立つべきスタートラインを見つけるためにも、こういう感覚は必要だと思うんだ。気付いたらなんとなく走ってるんじゃなくて、改めて走り出すってことが結構大事なんじゃないかと思うんです。

これはブラーの3rdアルバムでブリット・ポップの象徴的作品。コミカルなんだけど笑えないブラックユーモアに溢れた小説のような歌詞と、まさにポップなサウンドが一つになって、聞いてると楽しくなってくる反面、最近聞くと、奥底の寂しさが逆に際立ってくる感じがします。まあ、ブラーの作品は変化しながらも、常に「これぞブラー」とでも呼べそうな個性をしっかり持ってて、クオリティの高いものが多いのでどれもオススメです。ただ、私はギターのグレアムが抜けてしまった最新作を聞けない。。。去年にかなり評判でしたけど。
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