Alban Berg Quartett / Debussy & Ravel String Quartets (Rec 1984)

julien2004-03-25


クラシックは初めて書くんですが、とりあえずなるべく難解な専門用語を使うのはやめますね。
二人は音楽ジャンルでは印象主義に分類される人で、特にドビュッシーはそれまでのロマン主義までの「枠にはまった音楽」から、部屋の窓を開け放った人だと言われます。要するに、五線紙の枠をはみ出て、自分の感情を音にしていったような感じでしょうか。
機能和声という言葉があって、ベートーヴェンワーグナーを連想すればいいんですが、これを使うことで、音楽に緊張感の高まりや弛緩といった時間を取り込むことができます。ドビュッシーは調性を外すことで、こうした時間性を取り払い、印象派の絵画のような一瞬の視覚的な音を作り出すことができたわけです。
実は、この印象主義以降の音楽を「近代音楽」と呼び、シェーンベルク以降の現代音楽へと至るわけですが、それらに見られる機械的な音質は、ドビュッシーラヴェルには見られません。現代音楽は、「理性的」な音楽と呼ぶことができそうですが、この二人の時代には、まだ美への感情が残されていて、理性と感情のせめぎ合いが素晴らしい緊張感を生む、これほどの名曲を生み出したのではないでしょうか。ここにも西欧精神におけるキリスト教の影響を感じる。。。

アルバン・ベルク四重奏団は文句なしに世界最高峰の弦楽四重奏団で、この曲でも、完璧な技術と構築美を兼ね備えた素晴らしい演奏を聞かせてくれます。

私はどちらかと言えばラヴェルの四重奏曲が好きなんですが、特にピッツィカート(弦を指でつまんで離す演奏法)の連打から始まる第2楽章。。これを聞いていると、プルーストの小説の場面が浮かび上がってきます。ただ、間違えても昼間に聞いてはいけない曲ですね。