星の上に住んでいる人のことを考えていると、突然、鏡が空から落ちてきて粉々になって辺り一面に散らばった。
覗き込むとその中には人がいた。こっちを見て笑っている。
確かに見覚えのある顔だったが、それが街ですれ違った人なのか、それとも雑誌の片隅で見かけた人なのかは知らない。
破片の縁を蟻が行列を作って移動している。彼らが進むべき未来を考えると、そこにも歴史の闇が浮かび上がってくる。どこかへと逃げた人と寄せる波と交じり合い溶け合った人は、今では国境に隔たれてたまま、一つの時間を共有する。
闇は光の上を影のように伸び、鏡の上では光が空気を反射させた。

見上げると、鏡のあった場所にぽっかりと空虚があった。
この何度も繰り返し見たイメージが、なぜか初めて未来を示していた。空を見上げたのは今日が初めてだった。

アレゴリーはけして私をその場所には近づけない。
なぜなら、真理を求める気持ちはもうどこにも見当たらないから。
現実はイメージのなかにもあったのだ。新しい解釈がこの場所にも侵入し、空白を塗り潰していく。